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第2話

買い物を終え、ユウとダイチは帰宅するなり、ユウは多数の買い物袋を投げ出し、長ソファにダイブだ。 「あー、疲れた」 「だな、なんか飲むか?ユウ」 「んー...ビール...」 「あいよ」 広いリビングに連なった、カウンターキッチンに向かい、冷蔵庫からダイチは缶ビールを二本取り出すと、一本はタブを空け、ユウに差し出した。 「サンキュ...」 「寝たまま飲むなよ」 ソファに寝そべったまま、ビールを受け取ったユウに笑いつつダイチは隣に座り、自らもビールを開ける。 「んー...」 ゆっくりとユウは起き上がり、ソファを背に足を組み座るとグイグイとビールを流し込んだ。 「結構、歩いたな」 「ね。夕飯、どうしよ。...食べてきたら良かったかなあ」 ユウが缶ビールを口元に添え、宙を仰ぐ。 「材料は?」 「んー、わかんない」 「たまには出前でも取るか?」 「それもいいね。たまには。あ、ピザ!ピザ食べたいかも!」 子供のようにはしゃぎ始めたユウにダイチは微笑んだ。 一時期、互いに売り専をしていた事が発覚し、ぎくしゃくしていた事もあったが、ユウは近頃はたまに子供のように明るく振る舞い、それがダイチには嬉しくもあり、微笑ましくもあった。 大人びていたユウの新たな一面。 「....なに?」 ダイチの視線に気づき、ビールを飲みながらユウが横目でダイチを伺う。 「いや。可愛いな、と思って」 途端、ユウは押し黙り、変わりに真っ赤になった。 「な、な、なに、いきなり。可愛いじゃないし!カッコいい!」 ぷ、とダイチは笑い、 「だな、カッコいい、カッコいい」 空いた左手でユウの漆黒の艶めいた髪をくしゃくしゃにした。 「もう!ふざけんな!てか、チラシは?チラシ!」 「別にチラシじゃなくたって、スマホでいいっしょ」 手前にあるテーブルに腕を伸ばし、ダイチが置いていたスマホを手に取った。 アレも食べたい、これも美味しそう、と、ユウがダイチの頬に頬を擦り寄せるようにスマホのメニューを覗き込み、笑顔を見せる。 結果、ユウが食べたいという、新作のシーフードのピザと照り焼きマヨのハーフとダイチが食べたいと言ったマルガリータ、野菜も食べたい、と言うユウはサラダとチキンとポテトのセットまで頼んだ。 「まるでパーティーだな」 肩越しにダイチが笑う。 「お酒も頼めば良かったかな?」 「ビールはあるからいいんじゃね?」 「たまにはワインとか飲みたかったなあ、スパークリングとか!」 ぷ、とダイチが吹き出した。 「パーティーだな、マジで」 約20分後、インターフォンが鳴った。 オートロックを解除し、財布を片手にダイチが立ち、玄関へ向かう。

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