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第3話

「はあ、お腹いっぱい」 2人でペロリと平らげ、揃ってお腹を押さえる。 「だな。腹いっぱい...頼みすぎだろ、お前」 「お風呂は?溜めよっか?」 「ん、頼む」 すっくとユウは立ち上がると浴室へと向かった。 浴室も、以前の部屋よりも遥かに広い。 湯船も2人で向かい合って浸かっても足を伸ばせる広さだ。 「頭、洗ってやるよ」 「ん、ありがと」 シャワーヘッドを手にしたダイチを見上げ、ユウがはにかんだ。 不意に、ダイチの目がユウの肩下に止まった。 そ、とソレをなぞる。 「ん?」 「....これ」 思い出した、とばかりにユウは笑いながら、肩下にある小さなD、のタトゥーに触れた。 「ダイチの物、て証。...ほら、ダイチだって」 ユウはふざけるように、ダイチの腕を捻り、肩下のYの文字を見つめる。 「....そういえば、昔、ヒカルにこのY、てなに?て言われたっけ」 ただ単に思い出し口にしただけなのだが、徐ろにユウは口を捻り、不機嫌な面持ちに変わった。 「....今、思い出す?元彼のこととか」 「え?いや...頭、流すよ」 「いい」 ユウが不貞腐れているが無視してダイチはユウの髪をシャワーのお湯で濡らした。 「いいって!」 「口開けたら、お湯入るよ」 「....」 そのまま、シャンプーをし、トリートメントも施すと、ユウがぷは、と声を上げた。 「今度は俺、洗う」 「ん」 ユウが鼻歌交じりにわしゃわしゃとダイチの頭を洗っていく。 体も洗いあい、一緒に湯船に浸かり。 「はあ。気持ちい」 「てかさ」 「ん?」 「ラストのドームだけど。ヒカル、招待しようか、て」 途端にユウの顔から笑顔が消えた。 「...またその名前」 「んー」 「...まだ連絡、取ってたの?」 ダイチはシャンプー終わりで濡れた金色の髪を掻き上げながら、いや、と答える。 「こないだ、突然、連絡が来て。ウケたよ、なんかめっちゃ他人行儀っていうか、どもったりしててさ」 「...ふーん。で?」 「うん。なんか、よく俺たちの出演してる番組、見てるとかで。めっちゃ語られた。歌詞が好きだとか、もう機関銃か、てくらいに」 「...ファンなの?」 ユウが肩を竦め、きょとん、と尋ねる。 「みたい。コウくん、カッコいいね!とか言ってた」 思わず、ユウは爆笑した。 「え?ヒカルくん、コウ狙い?ダイチ諦めて?」 「いや、そうかはわかんないけどさ。そんなに好きならライブ来る?て聞いたら、即、行きたい!て」 「あー、ヒカルくんらしいかも」 静かな浴室で2人はクスクスと見つめ合い笑い合った。

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