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類さんにバレた、けど!? by光
翌日。
俺と晶が勤務するイタリアンレストランにて。
腕まくりして皿洗いしてたら、手首縛った跡を代表でもあり店長も兼ねてる類さんにバレた...。
晶は非番で自宅にいる。
どうせ、STAR☆FIVEのライブDVDを観てるか、写真集を見てるか、メンバーの奏が出演したドラマか映画でも観てるんだろう。
「へえ!晶に!?やるじゃん、晶」
店長、腹抱えて大爆笑。
イタリア人の旦那マフィと類さんの共同経営だけど、オーナーはマフィ。
この日はマフィは知り合いの店にバースデーイベントに呼ばれていて不在だ。
イタリア人のお客さんもよく来店するけど、万が一、マフィがいなくても店長もイタリアに一時期、滞在していたからイタリア語は堪能だし問題はない。
「笑わないでくださいよー」
「とか言って、良かったんでしょ?マンネリ防止にもなるし別にいいじゃん。てか、あの晶がねえ、意外かも」
「そうですか?」
「うん。相変わらず、僕やマフィに大しては借りてきた猫みたいに大人しいからねー。光には素を出せるんだろうね、光が大好きだから」
う、わ...そうなんだ。
照れるな、けど、嬉しい...。
「あ、あの、もうすぐ給料日じゃないですか」
「ああ、だね。どうかした?」
「あ、いえ、晶が、その、今ハマってるアイドルがいて、STAR☆FIVEとかいう。そのCDとDVDに応募券が付いてるらしくて。その、サイン会だか握手会だかの。店長も、その、良かったら貢献してくれたら助かるかな、て」
店長が目を丸くした。
「それは別に構わないけど」
「本当ですか!?良かったー」
「光も好きなの?」
「え?俺は別に興味ないです」
なにやら店長がにやにや。
「優しいねえ、相変わらず。てか、STAR☆FIVEねえ...」
店長が顎に指を添えて宙を仰ぐ。
「もしかして、店長もファン、とか」
「まっさかー。ただね、STAR☆FIVEに奏、ているんだけど、アレ、大学の後輩でさ」
「え!?」
驚愕が隠せない。
うーん、と唸り、変わらず宙を仰いでる店長を凝視した。
「まあ、年が離れてるからさ、大学で一緒とかはまあ無かったんだけどね」
「へえ...接点はあっても会ったことはないんですね、でも凄いなあ...」
「いや?」
「え?」
「あるっちゃあるよ。もうかなり前だけど、まだSTAR☆FIVE、デビューしたての頃か、OB会で知り合って」
「ま、マジですか!?会話とかしました!?」
またもや、店長ににやにやされた。
「なに?興味ないんじゃなかった?光は」
「ま、まあ、そうなんですけど...」
「実を言うとねー、しばらく付き合ってたよね。OB会で意気投合したというか」
「え!?」
まさかのアイドルとの交際...!?
「またまた冗談ですよね?国民的アイドルみたいだし」
「んー、まだ今ほど人気はなかったよね、当時は。別れて正解だったんじゃない?僕と別れて国民的アイドルになったんだし」
なんてこと無さそうに、さらっと話す店長に唖然。
「...もしかしてですけど」
「ん?」
「...店長から振りました?奏のこと」
「うん。だって僕はイタリアに行きたかったしね。引き止められたから、ある意味、逃げたよね」
...なるほど。
あまりに動揺しすぎて言葉にできないけど、イタリアにワーホリ行く前に付き合ってた、てことか。
「...イタリアに行こうとする店長を奏は引き止めたけど...結局、店長は単身でイタリアに行ってマフィに出会った、と...」
にこ、と店長が笑んだ。
「そういうこと。僕も念願のイタリアンレストランを日本で開けたし、別れて正解だったんだよ、きっと。あ、ていうか、晶には内緒ね。ショック受けそうだし」
...ショック、受ける、かな、晶。
案外、俺に八つ当たりしてバチバチ叩いたり、またもや縛り上げられて攻めまくられそう...かも。
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