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1. 大好きな人のために
臭い。ほんまに臭い。鼻先に押し付けられた、やけに硬い布団から漂う加齢臭。湿気った畳のにおい。カップラーメンの残り汁のにおい。煙草の吸殻のにおい。それから、生ぬるい汗、吐息、青臭い何か。この部屋には、ありとあらゆる悪臭が充満してる。
「桃山、今から本物のチンポ挿れたるからな」
うつ伏せのまま、腰をめいっぱい高く持ち上げられる。制服も下着も全部脱いで、今俺が身に着けてんのは靴下だけ。がっちりロープで後ろに縛られた腕は動きようもなくて、振り返ることすらできへん。口ん中のタオルが唾液を吸い取って、喉から押し出される嗚咽みたいなもんは全部鼻から吐き出される。せやから、俺は否が応でもこの悪臭を鼻で吸い込んでしまう。
「お前がほんまに初めてかどうか、一応ちゃんと確かめたるわな」
さっきまで入ってた指より明らかに太いもんが、俺のそこに押し当てられて、一気に突き破られる。
「おらっ、ちゃんと力抜けよ」
「ん゛ンうッ……!!」
腰骨がへし折られるみたいな圧迫感と、身体の内側を抉られるみたいな不快感。目の前をチカチカと星が飛ぶのに、意識はハッキリとしたままで、どこにも逃げられへん。
「あー、これは確かにサラピンやなぁ。ミシミシ言 うてるわ」
「ん、んぐっ、ふっ……」
ちょっと後ろに引いてから、さっきより更に深く突く。そうやって、どんどん奥の方まで抉じ開けられていく。一体それがいつまで続くんかと思うと、自分が壊れそうで怖かった。何回も何回も抽挿を繰り返して、ようやく寮長 の太ももが俺の体に触れる。
「ふぐぅ、ぅ゛う……」
「ふーっ、ほんまキっツいなぁ。お前、ほんまに自分で開発したんか?」
持ち上げられてたケツがおっさんの体重で押し潰されて、出したばっかりで萎びたままの股間が布団に擦れた。おっさんがグリグリと腰を動かす度に、繋がった俺の下半身も釣られて動いて蛇みたいに布団の上を這う。
「なぁ、桃山。お前、ほんま俺に感謝せぇよ? いらん言われたお前のココ使 たってんねやからな」
おっさんの手がケツの横んとこを叩いて、パチンと音が鳴る。
「んんっ……」
「なんや、お前、ケツシバかれて感じとんか?」
もう一回、今度はさっきより大 きく音が鳴る。その瞬間、じんとした痛みが熱になって広がって、俺の体は勝手に逃げ出そうともがき始めた。まるで芋虫みたいに。
「おー、おー。なんや、腰振りよって。ほんまド変態やな」
バチン、バチン、と左右交互にケツを叩かれる。何回叩かれても痛みに慣れることなんかなくて、歯食い縛ろうとすれば、口ん中のタオルに染み込んだヨダレがじゅわっと漏れ出した。
「あんまケツ締めんなや。チンコもげるわ。このクソガキ」
「ん゛んっ」
ようやく叩かれるんが終わったと思えば、ズシンと体の奥を貫くモノの重みが増す。それから、おっさんの太い指が、まだ熱持ったままのケツをゆっくりとなぞった。
「ふ、ん……んんっ」
「シバかれた後で撫でられるん気持ちええやろ? えぇ? あー、今答えられへんかぁ」
気持ちいいわけない。ぞわぞわとした気持ちの悪いもんが腹の奥をのたうち回ってるみたいな感覚がして、さっきまで強張ってたはずの体から力が抜けていく。
「ガキのくせに、いっちょ前に感じやがって。ほんま腹立つわ。このクソガキが」
俺の中に出し入れを繰り返すおっさんのモノの動きが早くなる。穴の周りを擦られるヒリヒリとした痛みと、内臓を貫かれ押し拡げられる圧迫感が、脳みそを支配していくんがわかる。
「おら、感謝しろよ、俺に。感謝しろよなぁ、桃山ぁ?」
腰から全身を揺さぶられて、オモチャみたいされるがままや。無限に出てくる涙と鼻水とヨダレに溺れそうで、段々と意識も遠退いていく。
「んぐっ、ぶ、ふうぅっ……」
行き場のない吐き気が汚い音になって鼻を鳴らし続ける。くぐもった水音が頭ん中に響いて、ほんまに気持ち悪くて吐きそうやった。
「あー、イクわ。お前ん中でイッたるわ、桃山。使 てもろて嬉しいやろ? なぁ、桃山ぁ?!」
「ん゛ん゛ン゛ッ゛!!」
ゴリッと深く突き上げられ、弓なりになった腰の括れを掴む太い指がぎゅっと食い込む。おっさんはしばらくの間、荒い息のまま俺のケツに自分のモンを擦り付けるみたいにして腰振ってた。それをされると、段々と腹ん中に熱い何かが染み込んでくるみたいな、そんな嫌な感覚が込み上げてくる。
「……ふぅ。ま、まぁまぁやな。伏見にいらん言われたお前のケツ、そんな悪なかったで」
先輩。伏見先輩。ごめんなさい。俺、初めては先輩とやと思ってた。先輩とがよかったです。何で俺、こんな…………。
朦朧とした意識ん中で、一瞬だけ浮かんだ先輩の顔は、体の中から何かを引き抜かれる感触に掻き消された――。
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