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第23話 開示③
「俺は、この通りごく普通の家庭で育って、公立の中学から高校へ進んだ。母はパートで働く主婦、父は保険会社で働いてる。兄弟はいないけど、猫がいる。そのぐらいかな。」
「ふうん…友達は?結構いそうだけど。あと、彼女とか…いんの?」
「友達は、中学の頃から仲が良い人たちとはたまに連絡とってるな。あと、幼馴染と最近また遊ぶようになって、学校では二三月と宇月と仲が良い。塾でも最近友達ができたかな。」
「そうなんだ…で、彼女は?」
「いない。いるように見えるか?」
「分からないだろ、実はいるかもしんないし。」
「彼女がいたら、さらに楽しいのかな。」
「…気になる子とかいんの?」
「いや、特に…」
「ふうん、まあいいんだけど。」
「なんだ、そっちから聞いておいて。二三月はいるのか?」
「え!?」
「気になる人。」
「いや、別に……いないよ。」
「あやしいな。」
「ほんとにいない!そんな…暇ないし。」
「そうか、忙しいもんな。」
「まあ…」
「二三月に彼女ができたら、きっと俺といてくれなくなるな。」
「は?なんだよ、それ…そんな訳ないだろ!」
「そうか?でも…」
「俺は友達が1番大事だ、お前が1番…」ハッ
晃は、二三月の次の言葉を聞こうとしていた。
二三月は、言葉に詰まり、ドギマギした。
「だ、だから…」
そうだな、と晃はポツリと言った。
「俺も友達が大事だから、一緒だ。俺たち、似たもの同士だから仲良くなったんだな!」
「…知らん!も〜やだ、お前…調子狂う。」
「どういう意味だ?」
「お前には分からないと思う。でも今は、それでいいや。」
「…俺は、色々と疎いよな。鈍いっていうか…」
「それで助かる奴もいる。お前はそのままでいいよ。」
二三月は、前にもこんなふうに俺を肯定してくれた。本当に、優しいと思う。
二三月は、小さい声でありがとな。と言った。
感謝するのは、こっちも同じだ。
これからも仲良くして欲しい。そう言おうかと思ったが、なんだか少し恥ずかしくなって、やめておいた。
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