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第22話 開示②
「俺…最初転校すんのすげー嫌だったんだ。私立通っててさ。受験必死で頑張って、志望してた高校に入れたんだけど、それと同時ぐらいにアイドルデビューできたんだ。」
「歌やダンスの練習もしてたのか?」
「グループ結成のためのオーディション番組に出てたんだけど、受験勉強しながらやってるってことで、結構みんな応援してくれて。練習期間は受験前の中2から3年の中盤だけだったけど、ファンが投票してくれて、デビューメンバーに選ばれたんだ。」
「すごいな、ファンも応援してくれてたんだな。」
「うん。番組があったおかげで、結構最初から人気出てくれた。でも高校の方は進学校だったから、勉強も出席日数もキツくて…。朝学習とか夕方の補習も出れないし、成績も落ちてさ。」
「うん。」
「それで…仕方なく、公立の学校に変えたんだ。向こうの学校いた時も、友達とかできなくて、遠巻きに見られてる感じだった。気遣われるのも、嫌でさ…こんなの我儘だって分かってるけど。」
「……。」
たしかに、アイドル活動をしようと決めたのも、私立進学校に入学したのも、どちらも二三月が選んだことだ。でも両立するのは、俺が想像できないほど難しいんだろう…。
「しょうがないことだ。デビューできたのは有難いけど、それで学校に行けなくなるのも少し考えれば分かることなのに…。それでも、なんだか納得いかなくて。」
「頑張って入った高校だもんな。」
「うん…デビューできなかった時のことを考えると、勉強はちゃんとしておかないとって思ってたから。親はどっちかと言うと学業優先派で、俺も勉強は嫌いじゃないし。」
「そうか…」
「でも…結果的に、今の高校に転入して良かったと思ってる。」
「そう思うのか?」
「お前がいてくれたから。彩月が隣の席で、話しかけてくれたから、そう思える。」
「ああ、たまたま席空いてたからな。」
「ま、まあ、それはそうなんだろうけど!」
そういうことじゃなくて!
「学級委員で先生にお前を任されたから、話す機会もできたし。俺も、学級委員でよかったと思う。」
「う、うん…。」
「俺も、隣に二三月が来てくれて嬉しいよ。」
「……。」
「仕事もあって忙しいのに、勉強も手を抜かないところ、尊敬してるんだ。」
「……うん。」
「泣いてるのか?」
「…泣いてない!」
「そうか。」
晃はそっと二三月のそばにティッシュの箱を置いた。
「…ティッシュもらう。」
「ああ。」
「…お前の方は?」
「なにがだ?」
「お前の話聞きたい。なんでも、些細なことでもいいから。」
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