26 / 27

第26話 興味③

昼休みも終わりに近づき、晃たちと別れて、宇月と春木は教室に向かっていた。 歩きながら、春木が言った。 「間近で見る二三月蓮すげー。」 「おい、あんまり言いふらすなよ!」 「言わねーよ。」 「ていうかお前、人見知りのくせに、なに先輩の家に行く約束取り付けてるんだよ!」 「だって、来いって言うから。」 「だから、来いじゃない!来ても良いってことだよ!遠慮しろ!」 「彩月先輩って、来るもの拒まずって感じだよなー。」 「話聞いてるのか!?」 「ん〜。俺、あの先輩好きかも。」 「は…はああ!?」 宇月は驚いて声を荒げた。 「お前だってそうじゃん。いつも先輩のこと話してんじゃん。」 「い、いやまあ…てかお前、さっき知り合ったばかりのくせに何言ってんだよ!」 僕が普段言えないことを、何でもないように! 「いいじゃん、別に。そう思ったんだから。」 宇月は少し黙ってから、 「先輩は…たしかに誰でも引き入れる。優しいけど、でもその優しさは全員平等で、誰かを特別扱いしたりしない。こんなに一緒にいるのに、先輩はさっき会ったばかりの春木と僕を同列に見てるんだ…後輩として一括りなんだ、どうせ。」 と、不貞腐れたように言った。 「ふーん…え、何が問題?」 「こっちの話だよ!くそぉ…」 「めんどくせーんだな〜、お前って。」 「うるさい!」

ともだちにシェアしよう!