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第6話
「殺しはしない。聖アルベス教会は、ケーキを特別保護指定しているからね。寧ろ、大切にしてるよ、人間もフォークも、ケーキを見つけたらね」
「そ、そっか……」
「たとえば、生活費の援助もしているから、きみも申請するといいよ。ただし――ケーキには義務がある」
「義務……?」
「そこにいる教会所属のフォークに、殺されたり怪我をさせられないかぎり、その味を提供するという義務だよ」
「……? それって、俺はどうすれば?」
「簡単に言えば、SEXさせろって意味」
「せ、せっくす? それは、何をすればいいんだ?」
「……え?」
「初めて聞いた……どうしたらいいのか……俺、この家には本もないし、村の学校には行けなかったから……学がないんだ……」
困りながら俺が眉根を下げると、ユイフェルが表情を消した。そしてじっと俺を見て思案するように一度だけ瞳を揺らしてから、不意に実に楽しそうに唇の両端を持ち上げた。
「そうなんだ。じゃあ、俺がじっくりと教えてあげるよ」
「う、うん」
「ただ、約束して。俺以外とは、SEXしてはダメだよ? だってきみは、俺が見つけた、俺の食べ物なんだからね」
ユイフェルはそう言うと、ポケットから聖油が入った小瓶を取り出した。これは、神聖な火を点すものとして、聖職者が持っている品だという知識だけは俺にもある。
「マイス、ベッドにきちんと上がって」
「分かった」
「それから、下を脱いで」
「うん?」
「いいから、僕が言う通りに。できるよね?」
口元は笑っているが、ユイフェルの瞳はどこか鋭い。俺はビクビクしながらも言われた通りにした。逆らってはいけないような気迫があった。
「膝を立てて。ああ、気分がいいなぁ。僕のことしか知らないなんて」
「うん……あ、あの……これ恥ずかしい」
「そんなことはないよ。フォークとケーキの間の正しい形なんだからね」
「そうなのか?」
「そうなんだよ。今から、きみの体がケーキとしていっぱい美味しいものを出せるように、教えてあげるからね。楽しみだな――まずは中だけで、なんにも知らないみたいだから、後ろだけで、イけるようにしてみたいね」
「? っ、あ!」
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