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第16話

 まったく、照れてしまう。ただ、隣国のように婚姻届のようなものはないから、実際一緒に暮らして体を重ねている今、僕達は名実ともに伴侶になったと言ってもいいとは思う。ただそれをラークが周囲に話してくれたというのが、僕にとっては嬉しかった。最初は僕をここから出さないための理由付けだったのかと思ったが、ラークは本当に僕を愛してくれているのだと分かる。だから今はもう、言い訳だったとは思わない。 「オリビア。明日――一緒に、買い物に行くか?」 「え?」 「ただし、ずっと俺と手を繋いでいるように。これが、守れるか?」 「僕の方こそラークと手を繋ぎたいよ! え、いいの? 夢が二つも叶う……」 「夢?」 「うん。僕はラークとデートをするのが夢で、手を繋ぎたいというのも夢で……その、お買い物に二人で行くのは、僕の中ではデートで……だ、だから……嬉しくて……」 「では、もっとデートらしいこともするか。買い物の前に、食事でもするか?」 「いいの? 味がしないんでしょう?」 「ああ。俺はお前が喜ぶ姿を見られるなら、何処へでも連れて行く。俺が一緒にいる時限定だが」 「嬉しい……」  頬を染めた僕に対し、柔和な顔で、ラークが目を細めて笑う。 「愛してる、オリビア」  何度も何度もこのように愛を囁かれているから、僕はもう、ラークの気持ちを疑うことはない。僕が、久しぶりにこの家から出るまでもう少し。  翌日には首輪を外してもらい、デートに行くと、街の人々に見つかった。そして会う人々にたくさん結婚をお祝いされた。この日のデートは大成功おさめ、その後僕達は二人で街にいくようになった。  だが、僕は家を出て行く気にはならなかった。  だって、ラークと過ごす家なのだから。  僕の方こそ、ラークのことを、愛している。  ―― 了 ――

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