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第1話
「早く行って稼いでこいよ、それぐらいしか出来ないんだから」
そんな言葉を背に俺は家を出た。
「今日は4人か、、、」
携帯で確認してつぶやく
相手と待ち合わせてホテルへ向かい
身体を重ねお金を受け取る
すべて終わり家へ帰れば玄関前で待つ女
俺を買った男達から受け取ったお金を奪うようにとればそのまま夜の街へきえていく
男性/女性の性以外に
アルファ . ベータ . オメガ の3つの第二の性が存在するこの世界で俺はオメガだ
俺の母親にあたるあの女はベータ
性に奔放で夜な夜な街へ出れば色んな男と関係をもっていた
そんなだからガキも出来る
堕ろすつもりが数少ないアルファの男達と関係を持った時期と重なっている事に気付き
"産まれてくるのはアルファなんじゃ"
"優秀なアルファのガキが出来たら、自分の将来は安泰か"
そんなバカみたいな考えで俺を産んだ
成長してみりゃベータですらないオメガ
元々少なかった関心は完全になくなった
イライラをぶつけるかのように俺への暴力罵倒は当たり前
高校なんかに行かせてもらえるわけもなく
ただ身体を売って生活するだけの日々が続く
今日もいつもと変わらず身体をさしだす
最後の客はホテルではなく野外希望
普段はしないが遅い時間だし
金を上乗せすると言うのでうけた
公園の木の陰に隠れるようにして行為を始める
しかし数分した所で人の気配
「こんなとこで何考えてんだか、、、」
呆れたような声が聞こえる
目を向ければ1人の若い男がこちらを見ていた
するとさっきまで俺の体を弄りまくっていた男は慌てて去っていく
あっ、お金、、、
いくら最後までしてないからといってここまで来て身体を触られてたんだ、少しぐらい貰わないと気がすまない
だがいくらそう思っても男の姿がもう見えないんじゃ意味が無い
しかたなく邪魔をしたおにいさんの方へ行く
「あんたのせいで客が逃げたんですけど、どうしてくれんの?おにーさんが代わりに買ってくれんの??」
「はぁ?知らねぇよ。こんなとこでやってんのが悪いんじゃね?」
そう吐き捨てると背を向けて歩き出す
その後を慌てて追うと微かにかおるアルファの匂い
よく見たらブランド物の服や時計
このおにーさんお金持ってる♪
「そんな事言わずにさぁ本番嫌ならフェラのみとかでもいいし♪俺上手いよ?」
そう言って肩を組めば
「気持ち悪い近付くな」
そう言って突き放された
「そんな誰彼構わず股開いて金とってる奴誰が相手するかよ」
「うわーひどーい!お金ないから仕方なくやってるだけなのにー....!!」
「事実だろ。いくら金に困ってるからってそんな事して、、、俺の友人の番のオメガはちゃんとしたバイトで稼いでるっていうのに。同じオメガでも大違いだな。」
「ふーん。大違いね....おにーさん幸せ者だね〜。世の中の事なーんにも知らないんだねww」
そう言えば、はぁ?と怒る
でも相手にするだけ無駄だと思ったのかそのまま去っていく
そんなおにーさんの後をまた追う気にはなれず近くのベンチに腰をおろす
さっきから言われた言葉が頭で繰り返し流れ離れてくれない
イライラが止まらない
だけど同じぐらいに胸は苦しくて、、、
「.......俺だって...したかねぇよこんなこと...」
そう呟いた声は暗闇に消えてった
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