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第11話

ひとしきり泣いて落ち着いてきた俺はそっとかずさんから離れる 「もう大丈夫?」 「はい。ありがとうございます。」 「そっか。よかった」 そう言って頭を撫でると、持ってきた飲み物を俺に渡す。 「はい、水分補給〜」 そう笑うかずさんに思わず俺も笑う その後かずさんは、疼いて仕方ない俺の身体を気遣いながら手伝ってくれた。 「⋯⋯ふっ⋯⋯⋯んっ⋯かずさ⋯⋯ん⋯⋯⋯そこ⋯⋯⋯⋯」 「ん?⋯⋯ここ?⋯⋯」 「ふぁ⋯⋯⋯もっ⋯⋯ゆ⋯び⋯⋯やだぁ⋯⋯んぁ⋯⋯⋯かずさんの⋯⋯ほしぃ⋯⋯あぁ⋯⋯」 「ごめんね、、なつの為にも指だけ、、、」 そう困ったように言う声が聞こえる 「⋯⋯んっ⋯やだぁ⋯⋯たりないよぉ⋯」 いつか本当のパートナーが出来た時の事を考えて指だけと言うかずさんの気持ちは分かってる、、、 でもどうしても身体は満足出来なくて、、、 それに普段体を売っているからか余計に身体はそれで得られる快感を求めていた 「⋯⋯ぅぅ⋯⋯かずさ⋯⋯」 「泣かないで、、、」 「⋯かずさ⋯⋯つら⋯ぃ⋯⋯」 「ごめんね、、、じゃぁこれだけ」 そう言うと俺の首元に顔を埋めそこに口付けしていく 「んあぁ⋯⋯かずさ⋯⋯⋯」 「首弱いんだね。」 そう言うと首元に埋めていた顔が離れ耳元にいく 軽く落とされるキスにビクリと反応する 「やっぱり、、耳も弱いんだね。」 耳元で聞こえるかずさんの少し低めの声にゾクリとする 「⋯⋯あっ⋯⋯⋯だ⋯め⋯⋯⋯ィッ⋯もう⋯⋯いく⋯⋯⋯」 「いいよ、いって。」 その言葉と一緒に耳を噛まれる 「んあぁ⋯⋯⋯⋯⋯」 後ろを弄られながら弱い所を刺激された衝撃で達する そのまま重たくなる瞼にあがらう事が出来なくて目をつぶる どれぐらい経っただろうか、、ぼんやりと目を開ければ隣で眠るかずさんが目に入る 自分の体を見れば綺麗にされていた 近くに飲み物も用意されていて手を伸ばせばあっさりと届いた 喉を潤せば頭を撫でられ、見ればかずさんが俺を見あげて手を伸ばしていた 「ごめんかずさん。起こしちゃった。」 「俺は平気。それよりなつくんは?身体大丈夫?」 そう問いかけてくる。 「かずさんのおかげで、大丈夫。」 「そっか。ならよかった。」 そう微笑むかずさんをみて思う。 "どうして自分にこんなに良くしてくれるんだろうか、、、" 考えながらかずさんの事を無意識に見ていたのか「どうしたの?」と尋ねられる だから思いきって聞いてみた 「まだ出会ってそんなに経っていないのに、なんでここまでしてくれるのかなって思って、、、」 思っていた事をそのまま口にすれば 「んー、はっきり言うなら初恋の人に似てたからかな。」 「初恋の人?」 「そう。もう会えないんだけどね、、、」 「そうなんだ、、、」 「高校の時にね、、、元々体が弱い所があってそれで、、、」 「、、、」 「だからあの日電車でなつを見かけた時はほんとに驚いた。痴漢から助けた大きな理由でもあるかな、、、」 「そんなに似てるんですね」 「そうだね、最初はほんと似てるって思ってた、、、でもさこうやって色々話したりしているうちに中身は全然違ってた。まぁ当たり前だよね。」 「違くてガッカリした?」 「そんな事ないよ。今はただただ面白くて可愛くて優しいなつくん自身を知って、一緒にいて楽しいって思うから、、仕事で疲れた時もなつくんと遊ぶ事考えたら乗り切れるんだよ。」 「そっか、、、いつも俺ばっかり助けて貰ってるって思ってたけど、俺もかずさんの力になれてるって事だよね、、、?」 「そうだよ、、、だからさ何かあったら遠慮なく頼ってね。」 その言葉に胸がじんわりと暖かくなるのを感じた そんな風にかずさんとの初めてのヒートの時間を過ごしてからは、ヒートの予定を伝えるように言われ一緒に過ごすようになった 一緒に過ごす度に変わらず優しくしてくれるかずさんのおかげで心は満たされていた だからか、先月のかずさん以外と過ごしたヒートは正直辛かった 優しく労わってくれるかずさんを求めながらいつもの男達の相手は苦痛でしかなかった、、、 でも優しいかずさんに心配をかけたくなくて 「大丈夫、平気だったよ!」 そう答えた、、、 「ほんとに?」 「ほんと!それよりかずさんこそ大丈夫なの?」 「俺も大丈夫。」 「そっか。ならよかった。」 そう軽く会話をした後に 「また連絡するから。」 「分かった。待ってるね。」 そう言えば俺の頭を軽く撫で去っていくかずさんの後ろ姿を見えなくなるまで見送った

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