17 / 52
第17話
しばらくそのままでいると、優人さんがハッとして手を離す
"あっ終わっちゃった、、、"
「ごめんな急に、、、」
「ううん。大丈夫。」
「その、、ピアスくれた人とは結構仲良いの?」
「うーん。仲はいいと思う。頼れるお兄ちゃんって感じでいつも俺の事気にかけてくれてすごく優しい。」
「そっか、、、」
そう言う優人さんの声がなんだか暗い.....
でもすぐ後に『そっか!なら良かったな!』なんて明るく言って別の話へと変わるから "気のせいだったかな?" なんて思い俺も明るく返していく。
そして9月も終わりに近付いたある日俺は焦っていた。
夕方から予定が入っていた2人から急にドタキャンをされた。
待ち合わせ場所に行ってもこないから連絡を入れれば『やっぱ今日なしー!』なんて軽く言われる。するとそのすぐ後に予定のあった1人からも『気分じゃなくなった』と、、、
あの母親からは1日最低10万以上と言われていた。
"どうしよう、、、朝の人のおかげで5万はあるけどまだ半分もある、、、。"
時計をみればもう19時を回っていた。
こんな時間に急に誘って来てくれる人なんて、、、かずさんの顔が一瞬浮かんだがすぐに頭を振り追い出す。
"かずさんは昨日から出張だ。こんな事で迷惑はかけたくない、、、。"
そう思って、しばらく会っていなかった人達に連絡をしてみるも冷たくあしらわれるだけだった。
"やばい。どうしよう、、、前に一度だけ、"ドタキャンされたんだから仕方ない" そう思い少ない金額をもち帰ったことがあった、、その時はお金を見るなり母親は俺に殴りかかった。
『何だよこれは。言ったよな?最低10万って。お前が持ってきたのいくらだよ。数えることも出来ねーのか。』
そう言って母親の気がすむまで殴り蹴られていた。そして最後には『次やったら分かってんだろうな。』そんな言葉を言って家を出ていった。
次は何されるか分からない。そんな不安が俺をより一層慌てさせる。
「あれ?なつ?」
そしてそんな時に優人さんと会った、、、
「こんな時間にいるのめずらしくないか?どうした?」
「あっ、優人さん、、、」
「んっ?何かあったのか?」
そう優しく問いかけてくれる。
"言ってはいけない。優人さんだけには、、、"
そう思いながら『何でもない。』とだけ答える。
それでも『本当に?無理すんなよ!』そう優しく言われ頭を撫でられた俺はついに言ってしまったんだ。
言うつもりなんてなかったのに。せっかく仲良くなれた優人さんには絶対に。これからもあんな風に笑いあって過ごしたかったのに。なのに。
「安くするからさ、俺をかってくれない?」
その言葉を聞いた瞬間優人さんから笑顔が消えた。
ともだちにシェアしよう!