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第17話

優人さんの最後の行動が気になったがいくら考えても分からない、、、 本人に今更確認する訳にもいかないので気持ちを切り替えてかずさんへ連絡をいれる。 『終わったから今から会えるよ!』そう送れば『分かった。どこに行けばいい?』すぐにそう返ってきた。 場所を伝え公園の入り口付近に移動しかずさんを待つことにした。 数十分後、『なつくん!』と近くに止まった車からかずさんが呼ぶ。 駆け足で向かい車に乗り込めば『どこに行きたい?』と楽しそうに尋ねてくる。 その姿に思わずクスクスと笑いながら『かずさんオススメの場所で!』と言えば『了解。まかせて!』なんて笑顔で言って車を走らせた。 かずさんは色んなとこに連れてってくれ夜ご飯には、俺の好きなお肉を食べようとちょっとお高めな焼肉屋さんでたくさん食べさせてくれた。 最後には家まで送ってくれ、お礼を言って車を降りようとすれば『これ、プレゼント!』そう言って紙袋を渡してきた。 中を見てみれば小さな箱の中に緑色の石がついたピアスが入っていた 手に取ってみればキラキラしていてとてもキレイで 「なつくん耳あいてるけど気に入るのがなくてつけてないって言ってたからさ。ペリドットっていうなつくんの誕生石なんだ。」 そう説明してくれた。 「ありがとうございます!!大切にしますね。」 「喜んでもらえたようでよかった。」 そう言ってかずさんは微笑んだ。 「ほんとにありがとうございました。」 「俺も楽しかったからいいんだよ。」 そう言って頭を撫で「じゃぁまた連絡する」そう言って帰っていった。 誕生日の翌日からは忙しく2週間ぶりに俺は公園へ向かった。 ベンチをみれば誰もいなかった。 結局その日は優人さんに会えずに終わってしまった。 "会いたかったのにな、、、" それからさらに2週間後、いつもの様に相手との行為が終わりホテルを出れば携帯にメッセージが届いてるのに気付く 見てみれば優人さんからだった。『今日お昼公園に行けるけど来ないかな?』 慌てて時間を見てみればもう13時。 無理かな、、、。そう思いながらも気付けば走って向かっていた。 公園に着きベンチの方を見れば優人さんが帰ろうとしている所だった。 急いで向かい「優人さん!!」と呼べば、こちらを向き「なつ!」と笑顔を向けてくれた 「返事ないからさ、会えないかと思った。」 「ごめんなさい。さっき気付いて返すよりも先に走ってここに向かってた。」 なんて言えば「だからか。髪すごいボサボサ。」なんて笑いながら髪を整えてくれる 「座ろう、、」 「でも優人さん帰るとこだったんじゃないの?」 「用はないから平気だよ。今日はもう会えないかな思ったから帰ろうと思っただけで、会えたからいる。」 なんて言われて嬉しくなる すると、ずっと俺の髪を触っていた優人さんの手が耳に触れる 「なつ、耳あいてたんだね。ピアスしてるとこ初めてみた。」 「あー実はそうなんだ。今までなかなかお気に入りのやつがなくてしてなかったんだけど、誕生日に貰ったんだ。」 「ふーん、、、。」 そう言えば優人さんはピアスに触れ、その手がそのまま俺の頬にくると、親指で数回撫でる。 今まで頭を撫でられる事はあってもこんな事は初めてで、驚いたが嫌な気持ちはしない。むしろもっと触れていて欲しい……そんな事を思っていた、、、 しばらくそのままでいると、優人さんがハッとして手を離す "あっ終わっちゃった、、、" 「ごめんな急に、、、」 「ううん。大丈夫。」 「その、、ピアスはかずさんから?結構仲良いの?」 「そうだよ!うーん、仲はいいと思う。頼れるお兄ちゃんって感じでいつも俺の事気にかけてくれてすごく優しい。」 「そっか、、、」 そう言う優人さんの声がなんだか暗い..... でもすぐ後に『そっか!なら良かったな!』なんて明るく言って別の話へと変わるから "気のせいだったかな?" なんて思い俺も明るく返していく。 そして9月も終わりに近付いたある日俺は焦っていた。 夕方から予定が入っていた2人から急にドタキャンをされた。 待ち合わせ場所に行ってもこないから連絡を入れれば『やっぱ今日なしー!』なんて軽く言われる。するとそのすぐ後に予定のあった1人からも『気分じゃなくなった』と、、、 あの母親からは月に最低はこれだけ稼げと言われていた金額を下回っていた "どうしよう、、、足りない、、。" 時計をみればもう19時を回っていた。 こんな時間に急に誘って来てくれる人なんて、、、 そう思いながらもしばらく会っていなかった人達に連絡をしてみるも冷たくあしらわれるだけだった。 "やばい。どうしよう、、、" 前に一度だけ、"ドタキャンされたんだから仕方ない" そう思い下回ったまま終えた事があった。それを知るなり母親は俺に殴りかかった。 『何だよこれは。言ったよな?お前が稼いだのいくらだよ。数えることも出来ねーのか。』 そう言って母親の気がすむまで殴り蹴られていた。そして最後には『次やったら分かってんだろうな。』そんな言葉を言って家を出ていった。 次は何されるか分からない。そんな不安が俺をより一層慌てさせる。 「あれ?なつ?」 そしてそんな時に優人さんと会った、、、 「こんな時間にいるのめずらしくないか?どうした?」 「あっ、優人さん、、、」 「んっ?何かあったのか?」 そう優しく問いかけてくれる。 "言ってはいけない。優人さんだけには、、、" そう思いながら『何でもない。』とだけ答える。 それでも『本当に?無理すんなよ!』そう優しく言われ頭を撫でられた俺はついポロッと言ってしまったんだ。 言うつもりなんてなかったのに。せっかく仲良くなれた優人さんには絶対に。これからもあんな風に笑いあって過ごしたかったのに。なのに。 「優人さん、俺をかってくれない?」 その言葉を聞いた瞬間優人さんから笑顔が消えた。

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