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第16話
食事を終えお店を出ると「もう少しだけ付き合ってくれる?」と遠慮がちに聞かれる
「もちろんです。」そう答えたら嬉しそうな顔をする優人さんに俺の胸はまた高鳴る
車で少し遠回りをして帰っていれば
「そーいえばもう少しで誕生日だよね?」
「覚えててくれたんですね!そうなんです」
「予定ある?」
「かずさんがお祝いしてくれるらしいんです!」
「かずさん?」
「俺の事色々気にかけてくれる優しい人です!」
「それって前に言ってたヒートの時も一緒にいるって人?」
「そう!」
「そっか、、、その人がお祝いしてくれるんだ。」
「どうしたの?」
「いや、その、、、言ったじゃん?お祝いするって、、、」
「ほんとにお祝いしてくれるの?」
「うん、、、なつがいいならお祝いしたい」
「嬉しいよ。夜は無理だけどお昼なら、、1時間ぐらい時間ある、、、」
「じゃあお昼お祝いする。」
「うん、ありがとう。」
それから数日、待ちに待った俺の誕生日
今日はかずさんが前から祝ってくれる予定だったから朝1人だけ入れてお昼からは自由に過ごせるようにしていた。
朝の相手を済ませば急いで公園へ向かう
まだ時間はあるのについ早歩きになってしまう
公園へ着けばまだ優人さんの姿はなかった
ベンチに腰掛け待っていれば数分後、頭を撫でられる
「お待たせ。待った?」
「ううん。俺もさっき来たとこ。」
「よかった。なつお誕生日おめでとう!」
「あ、、ありがとう、、、」
なんだか照れくさくて下を向いてしまう、、
すると優人さんは俺の顔を覗き込んで
「ちゃんとお祝いしたいんだからこっち向いて」
「うっ、、、はい。」
「んっそれでいい!じゃぁはいこれ!」
そう言って小さな箱を渡される
「あけてもいい?」
「どーぞ。」
あけてみれば時計が入っていた
「なつ時間気にする事多いだろ?だからどうかなって思って、、、」
「ありがとう、、すごく嬉しい、、、」
「よかった、、、。」
思わぬプレゼントに嬉しくなり頬がゆるむ
嬉しさを噛み締めていれば
「これもあるんだ。」
そう言ってもう1つ持っていた箱をみせると小さめのケーキが2つを見えた
「うわぁすごく美味しそう。ありがとう。」
テーブルがある場所に移動し、ケーキを取りだすとそれぞれの前におく
すると、優人さんは顔を赤めながら小さな声でバースデーソングを歌ってくれた
「ごめんロウソクは無いけど、、、なつ おめでとう!」
「本当にありがとう。」
2人で食べたケーキは今まで食べたどの料理よりも1番美味しかった、、、
その後も時間まで色んな話をした
"もう少しで終わってしまう。"
そう思ったらいつまでもこの時間が続けばいいのになんて夢みたいな事を考える
すると俺の携帯がメッセージがきた事を知らせる。かずさんからだった
『仕事が早めに終わったからいける時連絡くれたら迎えに行くよ』そんな内容だった。『分かった!ありがとう。』そう返した後に時間をみれば思ったより時間が経っていた。
「そろそろ行かなきゃ。」
「そっか、、、。」
そう言って少しの沈黙が流れる
「あのさ、この後ってその、、、かずさんと会うの?」
「えっ、うん。」
「そっか、、、、。」
その後黙り込んだかと思えば
「ごめん。何でもない。じゃぁ行くわ。」
「あっ。分かった、、今日はありがとう。」
「おう、、じゃぁまたな。」
「うん、またね!」
そうやり取りしたのになかなか動かない優人さん。"やっぱりなんかおかしいな..." そう思って声を掛けようとしたら
「いくわ。今日はおめでとっ!」
そう言っていきなり立ち上がり行ってしまった。
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