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第52話:番外編 優人side 前半.*・゚
少しだけ思ったことがある、、、
人によっては別にいいんじゃない?って思われると思うけど、、、
「なつー!」
ソファーに座りながら愛しい人の名前を呼べば『どうしたの?』とすぐに駆けつけてくれる
「特に用はないんだけどね、ちょっと一緒にゆっくりしたいなーって思っただけで」
そう言えば嬉しそうに笑うその姿に思わず頬が緩む
"本当に可愛いな" そう思いながら頭を撫でれば目をつぶり俺の方に体を少し預けてくる
その体に近くにあったブランケットを掛け抱きしめる
しばらくそのままでいれば、なつがハッと何かを思い出したように俺の方を向けば
「明日ね、朝陽と料理の特訓してくるね!」
そう言ってきた
なつに2人を紹介してから同じオメガということもあり、朝陽とは随分仲良くなったようだ
なつに親しい人が出来るのは凄く嬉しい
朝陽もいい奴だから何も心配はない
でも一つだけ、、、どうしても気になるんだ
「優人さん?どうしたの?」
"そう、呼び方だ。なんであさひは呼び捨てなのに夫である俺にはさん付けなんだ?"
"分かってる。別に呼び方なんて何でもいいだろ、そう思う人もいるだろう。ましてや苗字呼びな訳でもない。めんどくさい奴、そう思う人もいるだろう。でも気になるんだ、、、"
"一度くらいゆうとって言ってもらいたい"
そう思って意を決して言ってみた
「ねぇなつ?」
「なぁに?」
「なんで朝陽は呼び捨てなのに俺はさん付けなの?」
「えっ?」
「少し前から朝陽の事は呼び捨てだろ?」
「、、、うん。」
「俺は?俺の事は呼び捨てしてくれないの?」
「それは、、、何かくせになってしまったというか、、、、今から変えるのが何か恥ずかしくて、、、」
「そっか、、、」
「、、、ごめんなさい」
「いや、いいよ。俺の方こそごめんね。ただ気になったから言ってみただけなんだ。気にしないで」
そう言って笑顔を見せた
"やっぱり言わなきゃよかったなぁ....."
翌日、なつが朝陽の家へ向かった後に1人呟く
気にしないで、、と伝えたけど今朝のなつの様子からしてあれは絶対気にしてる
「はぁ、、、」
思わず言ってしまった昨日の自分にため息が零れるが、気にしていてもしょうがないと部屋の掃除をしながら気を紛らわす
それから何時間が経っただろう
「ただいまー!!」
と玄関からなつの明るい声が聞こえてきた
その声の様子からもう気にしていないことが分かり少し安堵し、玄関へ向かう
「おかえり」
「ただいま!あのね!今日もすごく美味しいのが出来たんだよ!自信作!!」
そう言って笑顔で作ってきた料理が入った紙袋を俺に見せる
「それは食べるのが楽しみだな」
そう言いながら紙袋を受け取りリビングへ向かえば後ろからなつが嬉しそうについてくる
そんななつの頭を撫でながら
「お風呂先に入っておいで、用意しておくから」
そう言えば『はーい!』と返事をして浴室へ向かう元気な後ろ姿
テーブルになつが作ってきた料理を並べていけば美味しそうな匂いがリビングにひろがった
つい待ちきれなくて1口だけ口に運べばとても美味しくて口がほころぶ
「あー!!!今食べた!!」
するといつの間に上がったのか、まだ少し髪の濡れているなつが大きい声でそう言いながら近寄ってきた
「もう!せっかく早くお風呂終わらせたのに!」
頬を少し膨らませながらそう言う姿がまた可愛くて、、、
「ごめんごめん、、、あまりにも美味しそうだったから待ちきれなくてつい、、、」
そう言いながら髪に触れる
「やっぱり髪まだ濡れてる、、、おいで。」
そう言ってなつの手をとりソファに座らせ、なつが持っていたタオルを取り頭に乗せ優しく水気をとる
すると "ふふっ" と嬉しそうに笑う声が聞こえたかと思ったら
「優人さんにこうしてもらうの好き!」
そう言って気持ちよさそうに目を閉じる
その姿に思わず後ろから抱きしめれば、少し驚きながらもまた嬉しそうに笑うなつ
首元にキスをすれば "んっ・・・" と甘い声が漏れる
首元から離れれば「もう、、どうしたの?」と言いながら振り返るなつの頬を撫でる
そんな俺の手にさらに頬を擦り寄せる姿にもう我慢が出来なくて、、、吸い寄せられるようになつの唇に自分の唇を重ねた
「んっ・・・・はぁ・・・・ゆぅ・・・とさ・・・・」
俺の名前を呼ぶその甘い声に止まることは出来なくて、、、
僅かに開いた隙間から舌を滑り込ませなつの舌を絡めとる
「んん・・・・ふぅ・・・・・」
少し苦しそうな声が聞こえそっと離れれば涙目で俺を見上げるなつと目があう
「もぅ、、、急にやめてください、、、」
「なつがあまりにも可愛くて止めらんなかった、、ごめんね。」
そう言いながら申し訳なさそうな顔をすれば『その顔、、、ずるいです、、、、』なんて言うなつの顔がまた可愛くて、、、
"はぁ、、もうほんと、、、もう1回したら怒るかな、、、止められなくなりそうだしやめとくか、、、"
なんて考えていたらいつの間にか俺の腕からすり抜けていたなつがテーブルの方で用意をしていた
慌てて立ち上がり駆け寄れば『何考えてたんですか〜!?』なんてニヤリと笑いながらなつが問いかけてくる
それに『んー?もう1回キスしたらなつどうなるかな〜って思っただけ』なんて言えば少し顔を赤らめ『ばか、、』なんて言いながら俺の事を軽く叩いてくる
その姿に思わず笑みが溢れれば『何笑ってんの!!』とさっきよりも強めに叩いてくるもんだからその手を取って唇に軽くキスをすれば、一瞬驚いた顔を見せた後にみるみる赤くなっていくのに自分でも気付いているのか、下を向き必死に顔を隠そうとしている姿に自分の頬が益々緩んでいく
「なつ、、、顔見せて?」
「、、、やだ」
「なんで?なつの顔見たい、、」
「分かってるくせに、、意地悪、、、」
「もうほんと可愛い」
そう言いながら抱きしめれば嫌がる素振りを見せたがすぐに大人しくなり背中に手を回してくる
"あー幸せだ、、、"
さらに強くなつを抱きしめながらしばらくその幸せを噛みしめていた
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