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第6話
激しく擦られた粘膜がピクピクしているのがわかるほど、広げられた場所へ、熱い火の棒のようなものが挿入ってきた時には完全に躰は弛緩仕切っていた時だった。
「……っっ!!」
声を上げることすら出来ず、指が届かない場所まで押し開かれて貫かれていた。
ヒロはハルを抱きしめて手を背に回させ
「辛かったら爪たてていいから」
と耳元で囁いた。口唇を塞ぎながら動き出した腰の動きは滑らかで、内臓を持ち上げるような圧迫感と同時に、ほんの少しの痛みと、背筋を途切れることなく伝わる快感に、我を忘れて叫ぶような呻き声が漏れるがヒロの口唇に塞がれているから、大きな声にはならない。
クチュクチュと音を立てて上の口も下のヒロを咥え込んだその場所も濡れた音を立てている。
その場所から自分は溶けてヒロに取り込まれてしまうのではないか?という錯覚に陥りながら揺さぶられるその躰は痛みや圧迫感よりも、快感を選んで感じ取っている。
口唇を塞がれているが、ヒロの息遣いも間違いなく愉悦を感じている。こうやって躰を使って御奉仕する方法もあるのだと知った。
ヒロも同じようにしているのだろうか?
少し年上のヒロのご主人様は離れに住む匡の従兄にあたる人だ。本邸で顔を合わせるのは使用人部屋がこちら側にあるからで、ご主人様が未成年の頃は離れに住んでいたようだが、成人してからは本邸の方の手伝いも兼ねているから、顔を合わす機会も増えた。
まだ、ハルは勉学を共にしてる身だ。ゆくゆくは側仕えになる予定だが、ヒロのご主人様には、まだそういった立場は必要ないらしかった。ハルはこの時はまだ、ヒロの立場を理解していない。奉公人として先輩だということ以外何も知らなかった。
そして、何故、今、この男の腕の中で啼かされているのかも。これは奉公人の通る道のひとつだと解釈していた。尊敬するご主人様へ尽くす為の練習をさせられているのだと。
声を上げて、誰かが見に来てもおかしなことではないのかもしれないが、ヒロの体はがっちりと筋肉も付いていて男らしい躰付きなのに対して、筋肉とは無縁のなよなよした貧相な自分の躰を比べられることと、組み敷かれた状態でみっともない姿を晒していることを見られるのは少し恥ずかしさを覚えた。
息苦しさと体力の限界が近づいてきて
「……ヒロ……さ……あぁ……も……ムリ……」
「っっ、じゃ、一緒に。ちょっと速度をあげるから、一緒に達こう……」
そういうとまた口を塞ぎながら速度を上げて腰を打ちつけてきた。酸欠と愉悦の狭間でクラクラとした状態でも、躰は素直に愉悦を拾い上げて何回目になるのかわからない絶頂を迎えた。躰の奥で熱い飛沫を受け止めていることで、相手の快楽を知る。
「……最高に気持ちよかったよ。これなら満足してもらえること間違いないな。今度はもっと声の出せるとこでヤろうな、何度も実践を重ねて、躰を慣らして、ご主人様に奉仕するのはそれからだからな?」
その言葉を最後にハルの意識は深く落ちていった。手近にあった手拭いを手にそれを湯で濡らしてハルの部屋へ戻り、ぐったりとした体を清めて寝着を整えてまた手拭いを洗って、部屋の隅に干して置いた。
思っていた以上に華奢な躰は滑らかで、白くて女を抱くよりも素直に色々なことを吸収していった。からかい半分で始めた性交が思っていたより良かったことと、未成熟特有の色気に途中から本気になって抱いてしまった。
――ヤベェ、これはハマる……
ハルの一途さが自分に向くことはないだろうが
たとえ、間違って匡がハルを性の捌け口として抱いていたって、いずれ匡は嫁を迎えて、その女と跡取りを作らなくてはならなくなる。跡取りが出来なければ愛人に産ませる。男で子供の産めないハルにはその順番は回ってこない。
ハルはその頃には女を抱けない躰になってるだろう。それはそう遠くない未来に訪れる。
その時に慰め役として現れればいいだけの話だ
そう、その時に……
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