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第2話 僕達は『美味しく見える』らしい
「蜜柑っ!!中学二年でやっと同じクラスになれたね」
始業式後に林檎が後ろから抱きついてきた。
……蜜柑のスキンシップは自宅だけでいいのに、これからは教室でもされるのかと思うと、気が重いと感じていた。
「良かったな林檎、大好きな兄貴に甘えられて」
クラスの男子に林檎は茶化されたのに、素直に受け取った。
「うん、俺凄く幸せー!!」
それともコイツは気付いているのか、笑顔でそう答えている。
「……止めて」
僕は林檎の顔に手を起き思い切り押し返した。
「どうして?家では俺の好きにさせてくれるのに」
「そうだよ東雲兄弟、イチャイチャしてて」
「男子私立中学で『可愛い双子』がラブラブしてても『美味しい』としか思わないよ」
「何せ『果物』だもんな」
茶化されて、僕は相手にする程お人好しじゃない。
「俺達『美味しい』?」
林檎は僕とは違い、社交的な性格だった。
「『美味しい』よ」
「いつか『食べさせてね』」
「ダメ。僕を食べていいのは『蜜柑』だけ」
それ……意味わかって言ってる?
僕は食べるのも食べられるのも、林檎じゃ嫌だ。
そういうところも僕は気にくわなかった。
「林檎の『兄貴好き好き』がここまでだとは思わなかったよ」
「林檎は『異常』だね」
クラスメイト達は林檎の異常な執着にあきれていた。
だけど僕もそれについては同感で、林檎からの僕への想いは『愛情』で『恋愛感情』だっていうことにも気付いてる。
それについても僕はいつも苛ついていた。
「……蜜柑?」
「なんでもない」
なんでもない、ただこれは僕達兄弟のいつものこと。
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