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第3話 一緒に来てほしくない場所
「蜜柑、帰ろう?」
HRが終わって、僕はスクールバッグに筆記用具を入れて席から離れようとしていたとき、僕はまた林檎に呼び止められた。
「僕は図書室に行くから駄目」
「え?じゃあ俺も!!」
林檎には来て欲しくはない。
……僕は大好きな本を読みたいから図書室に通っていた。
それは貸し出し許可が出ていない本で、だから学校で読むしかなかった。
「林檎には来てほしくない」
「どうして?」
「……図書室は五月蝿い林檎には向いてない…」
少し苦しい言い訳かとは思った。
しかし僕がそう言うと、林檎は少しだけ間を置いてから、
「確かに俺には向いてないかも。……でも一緒に帰りたいよ」
これ以上一緒にいてどうするんだろう。
「家で一緒じゃ、林檎は不満?」
少しだけ切ない表情で僕は訴えた。
「!!そっそんなことないけど!……今日は大人しく一人で帰る」
こんなやり取りをしていたら、新しい教室のクラスメイトが林檎に声をかけていた。
「林檎、一緒に帰ろーぜ?コーラ奢るから」
「……俺は仕方ないから一緒に帰るけど、明日から蜜柑と帰るから、蜜柑と俺の邪魔しないでね!!」
「林檎、お前それじゃ兄貴に冗談じゃすまされないぞ?」
林檎は笑って僕に『家でね!』と手を振った。
僕はまたあの本が読めて、手に取ることが出来ることを嬉しく感じていた。
逸る気持ちを抑えきれなくて、早歩きで別校舎の4階に上がっていった。
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