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翠鳳さま

「あ、あの……」 「私浅葱と申します。翠鳳さまが小さい頃からお仕えさせていただいております。よしなに」 「りんです。よろしくお願いします」 何事も最初が肝心。ペコッと頭を下げると、 「りんさま、私どもに頭を下げる必要はございませんよ。あなた様は竜神の巫女さまなんですから。では失礼します」 ピョンピョンと跳び跳ねてどこかに行ってしまった。 翠鳳さまの話では、竜神さまは本来は硬い鱗に覆われた竜の姿だが、普段は人型をしている。祠から滅多なことでは出てこない。だから見る者によっては悪戯好きの子どもだったり、イケメンだったり、渋くてダンディーだったり、偏屈なお爺ちゃんに見えるみたいだった。とにかく美しいもの好きで綺麗好きでかなりの甘党。長命で頑健で翠鳳さまと同じく100年以上は生きている。 二十年に一度生け贄として奉納される娘を花嫁にするという。人は限られた時間のなかで生きている。年とともに衰えてくる。でも翠鳳さまも竜神さまも若々しい。あやかしも神様も年を取らない。 「竜神にうんと可愛がってもらえ。跡取りを生めば永遠の命を授かることが出きるぞ」 竜神さまから僕が半陰陽だから呼んだと伝えられた翠鳳(すいほう)翠鳳さま。ニタニタと笑っていた。 白い着物を着た男性。白鬼丸には大人の色気を醸し出すイケメンに見えるみたいだったけど、僕には同い年くらいの少年に見えていた。出会ったときから竜神さまはずっと不機嫌そうだった。 「この者のどこが美しいんだ?がりがりだし髪は短いし。こんなごぼうみたいな体抱いても面白味がない。そもそも卵を産めるのか?今までの妻みたくお産に耐えきれなくて死んでしまう。それよりも翠鳳、菫を俺にくれ 「は?」 翠鳳さまの眉間にどんどん皺が寄っていった。

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