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運命の相手

傷が痛むのか、悪い夢でも見ているのか何度もうなされる頼理さま。心配で隣に布団を敷いて寝ることにした。 七音もしょっちゅう熱を出していた。さっきまで騒いでいたと思ったら急に静かになったり、大好きなハンバーグを作ってあげたらやっぱりいらない、顔色も悪いし、元気がなくて、熱を測ったら39度を越えていたこともある。 寝汗でびっしょり濡れていて起こさないように注意しながら手拭いで額や首元を拭いていたら、土間のほうからガタガタと物音がしてきた。 「見てくるからりんはそこにいろ」 隣の部屋から白鬼丸の声が聞こえて来た。 「何かあれば大声を出せ。扇子に助けを求めろ」 「分かった。白鬼丸こそ気をつけてね」 頼理さまの顔を見るとスヤスヤと眠っていた。切燈台の灯りを息を吹きかけて急いで消した。何事もなく時が過ぎますようにと祈った。 がた、がた、今度は外側の戸が揺れた。誰かが雨戸をこじ開けようとしていた。頼理さまを守るって決めたんだもの。怖いなんて言ってられない。頼理さまの枕元に置いてあった脇差しを両手で握りしめた。 その黒い大きな影は不気味な声でヒョーヒョーと鳴いていた。もしかして白鬼丸が言っていた鵺ってこの影の持ち主のことだろうか。となると狙いは間違いなく頼理さまだ。鵺がいるなら熊も近くにいる。怖くて足がすくみ手がガタガタと震えたけど、やれば出来ると自分を鼓舞して身構えた。 「父上と母上と青丹さまと黒檀さまに恩返しを何一つしていないのに、あなたに食われるわけにはいかないの。お願いだから山に帰って」 話して分かる相手ではないのは百も承知。 頼理さまを守りたい。ただそれだけだった。

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