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第17話 それぞれの戦利品?

「ずいぶんと役に立たないこと」  セラフィムはサロンのソファーに優雅に腰掛け、目の前に突っ立っているだけのライハム伯爵夫人目掛けて手にした扇を投げつけた。 「英雄を産ませてみせます。って話はどうなっているのかしら?」  決して怒鳴っているなどそんなことは無いのだけれど、公爵夫人であるセラフィムは大層なお怒りだ。英雄を生み出すのに一役買ってくれているウォーエント家のアリアナを、強引にサロンに招いたというのに、まるで主役のようなドレスを着て、主のごとく振る舞われた。  もとから、アリアナは社交界の華ではあった。  そのアリアナが産んだ一粒種の息子が、どうやら学園で人気らしいと耳にした。  アリアナに似て小柄で可愛らしく、豊富な魔力量から織り成す魔法は学園で一二を争うと言う。領地にダンジョンがあるから、子爵としては豊かな暮らしぶりで、ダンジョン目当てに各地から冒険者が集まる。有事の時には、冒険者が騎士団以上の働きができるとあって、国王からも一目置かれているのだ。  宰相のブロッサム公爵家が狙っているとの噂は聞いていた。人材と資金が集まる子爵領を、国から切り離したくない。そんな思惑が透けて見えている。 「まだ、学生の身ですから……」  何度聞いた言い訳だろうか?流石に今回もその言い訳を聞いてやるつもりはない。 「そうねぇ、でもね…どうやら私が『英雄』を産めそうよ?」  セラフィムが笑いながら告げると、ライハム伯爵夫人の顔色が青ざめた。今日のお茶会の前に、事前情報としてきいてはいたが、どうにも信じ難いことである。 「そ、それは一体どう言うことでしょう?」  このままでは、ライハム家にとって最悪な事態を招いてしまう。だからと言って、それの邪魔をすれば、家が取り潰される事になりかねない。 「分かっているでしょう?我が息子のことよ」  セラフィムが片眉をあげた。 「ウォーエント家の子息と訓練をしていると……」  自分の息子はしたことがないけれど、下級貴族のウォーエント家の息子は早々に訓練に誘ったと言う。夜に二人っきりで訓練なんて、醜聞を気にしない下級貴族のする事だ。 「『英雄』の技に興味があるのですって、夜分に息子と二人で訪ねて来たわ」  ライハム伯爵夫人の喉が鳴った。先程セラフィムが言っていた事の意味が、じわじわと理解される。 「そ、それは……不躾なのでは」  夜分に初訪問なんて礼儀がなっていない事だ。上流階級の貴族なら、そんなことはしない。まして、『英雄』についてのことならば、きちんと手順を踏んでから行うべきだ。何しろ国の宝なのだから。 「息子の剣から火の玉が出たそうよ?不思議ねぇ」  セラフィムが楽しそうに言えば、反対にライハム伯爵夫人の顔色が悪くなる。 「そ、それは……」  見たことはないが、英雄の技と言われるものだ。剣から魔力を放出して、敵を一網打尽にすると言う。ただ、先代が英雄であり、その能力が引き継がれるものではないと聞いて、質の良い魔力を持つ息子を許婚に推したのだ。そして、見事に許婚となり、学園に入学してからはその能力を上げるために鍛錬を重ねさせた。 「お披露目の際には、招待状ぐらい送らせるわ」  セラフィムからそう告げられると、ライハム伯爵夫人の近くの扉が開いた。もはやなにかを語る時間は過ぎ去ったらしい。  *****************  ダンジョンで暴れまわって、魔力切れギリギリになって、ご飯を食べて、獲物を回収したら、体の異変に気がついた。  けれど、そんな体験は初めてだから、ロイにはよく分からない。とにかくお腹が熱いのだ。熱いうえになんだか、ムズムズする。テリーと英雄の話をした時とはなんだか違う気もする。 「セドぉ」  地面にペタリと座った状態で、ロイがセドリックを見つめてくる。もちろん、セドリックはロイの訴えの理由も何もわかっている。  分かっているからこそ、セドリックは大きく息を吐いた。学園での比ではないほどに追い詰めたのは確かだ。魔力切れをするということは、すなわち生命の危機にも似ている。死にはしないが、生命が欲するのだ。 「学園で教えたはずだ」  セドリックはそう言って、ロイの下腹部に手を伸ばした。熱いと訴えているのソコは、健気に主張を始めているらしい。その健気さが可愛いなとは思いつつも、学園でしか過ごしたことがないセドリックは一瞬ためらった。何しろ、下が地面だ。シャワーもない。ダンジョンに潜る冒険者たちはどうしているのだろう?  この手の経験がないセドリックはしばし悩んだけれど、目の前にいるロイが煽ってくるのだ。セドリックだってかつて経験のないほどに興奮はしている。 「熱いのはここだろう?」  セドリックの手がロイの下腹部に触れた。  ロイがお腹と主張するのは経験がないからだろう。確かに、下腹に熱が溜まる感覚がなくもない。 「むずむずするよぅ」  ロイはそう言って膝をすり合わせるように動かす。そんな幼いしぐさが、こう言った場合よろしくないのだと、ロイは知らないのだろう。 「わかった」  セドリックは自分の喉が鳴る音が、やけに大きく聞こえた。実際に使うのは初めてだけれども、遮音と目眩しの魔法を織り交ぜた結界を展開させた。野営訓練で学ぶものだけれど、セドリックは家庭教師からすでに学んでいた。  展開の具合を確認してから、ロイの肩を軽く押した。  それだけで、あっさりとロイは後ろに倒れた。頭が地面にぶつかる寸前で、セドリックは慌ててロイのあたまの下に自分の手を入れた。ここがダンジョンだとうっかり忘れていたのだ。  ロイの頭を支えた事により、顔と顔が近づいた。 「セド?」  寝転がらされて、上を見る形になったロイが不思議そうにセドリックを見る。学園で教わった時、こんな体勢にはならなかった。それに、 「なんで、結界?」  自分たちの周りにだけ張られた結界が不思議だ。天井に、ロイが張った結界があると言うのに。 「誰かに見られたら大変だろ?」  ロイが張った結界は、侵入を防ぐことが目的とされた一番シンプルなものだ。これでは上から見えるし、声も聞こえてしまう。  セドリックはこれから行う行為が、どれほど欲にまみれているか、ロイには秘密にしたかった。 「そ、なの?」  こてん、と倒れたままの姿勢でセドリックを見上げるロイは、これからセドリックが行おうとしていることに対して無知だ。だからこそ、セドリックは少し後ろめたい気持ちを持ってロイを見た。 「これから俺がすることは、誰にも言うな」  演習場で、視界の際に許嫁がいた事は知っていた。いつも冷たい目線しか向けてこない。個人訓練の誘いでもあるかと思っていたけれど、この二ヶ月一度もなかった。公爵家の子息とは言えど、一年生が三年生に声をかけるのははばかられる。セドリックは幾度となく個人訓練を演習場でしていたのだが、許婚はただ眺めるだけで、声を掛けてくる事はなかった。  一度関係について確認をしようかと思っていた矢先に、これだ。 「う…ん」  セドリックに真剣な顔で言われたから、ロイは不思議そうな顔で返事をした。  そんなロイの顔を見ながらセドリックはロイの下履きに手をかけた。くつろがせるだけでなく、そのまま下履きを全て取り去った。ロイが履いていたのは訓練用のブーツだったけれど、食事の時にロイがくつろぐために紐を緩めていたせいか、少しひっかっかっただけで、取り去る事ができた。 「だいぶ……だな」  学園での時に比べて、主張はだいぶしっかりしていた。セドリックは軽くひとなですると、ロイの両足首を掴んだ。 「えっ……なに?」  急に腰が浮いた事にロイが驚いていると、セドリックと目があった。セドの顔を挟むようにロイの足があった。セドリックの顔の前には主張をしているためいつもと様子の違う自分の股間がある。  セドリックの手がロイの制服のボタンをはずしていくが、ロイはそんな事には気づいてはいない。セドリックと合わせてしまった視線が外せないのだ。 「やぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」  セドリックが急にロイのものを口にした。 「た、食べちゃ、だめぇ」  慌ててロイはセドリックを止めようとして、上体を起こそうとした。 「ひゃぁぁ」  セドリックが口を動かして、強く吸ってきたのだ。 「や、やぁ、食べないで…なくなっ、ちゃ、うぅ」  自身が吸い込まれるような喪失感に、ロイはセドリックの腕を掴んだ。その手に力は入るが、それ以上はどうにもならないらしく、体が小刻みに震えている。  ロイの目尻に涙が薄っすら溜まった頃、セドリックは大きく口を開いてみせた。 「あ、あったぁ」  自分のものが食べられていなかった事に、ロイが安堵の顔をすると、セドリックは軽く笑った。 「ひゃんっ」  いつの間にかにはだけさせられていた制服は、ロイの腕しか隠しておらず、セドリックの大きな手がロイの首筋から胸にかけてを撫でていた。ロイが必死でつかむから、大きな動きができないだけで、長い指は鎖骨の窪みを撫でたり脇の辺りを撫でたりする。当然、そんなところを他人に触られた事のないロイは、大きく反応してしまう。 「たぁ……食べないでっ」  口を大きく開けていたセドリックが、口を閉じて歯をたててきた。エナメル質の硬い感触が、先端の方から順に付け根に向かって移動していく。強弱をつけて歯を当てて、舌を使って強く吸ってくる。まるでセドリックの顔がロイの下半身にくっついてしまったようだ。根元から全体を強く吸われたことにより、今度こそ本当に食べられたと思ったロイは、必死でセドリックの髪を掴んだ。 「あ、あぁんっ……で、出るぅ」  下腹部のむずむずした感覚が、排泄のそれに似ていて、ロイは堪えるように両の太腿に力を入れた。そのせいで、セドリックの頭を挟み込んでいるとは思ってなどいない。 「で、でちゃ、ぅぅ」  セドリックの髪を鷲掴みにして、ロイが必死に耐えようとするものだから、セドリックはおかしくなって意地悪をしたくなった。深く咥え込んだ先端を喉の奥で押さえ込んで、さらに強く吸い込んだ。そして、ロイの意識がまるで向いていない、むき出しの敏感なところを指先で二つ同時に弾いた。 「ひっ……ぅん。んんぅ」  ロイの体が一度跳ねて、その後セドリックの顔を挟み込む両の太腿が小刻みに震えてきた。真っ直ぐに伸びた足が、つま先だけ丸くなる。 「で…でちゃ……た」  羞恥に顔を赤くするロイが、涙目でセドリックを見ていた。ロイの中で、大きな誤解が生じている事ぐらい、セドリックは分かっていた。だからこそ、セドリックはロイに見えるように口を大きく開けて、自分の口の中に受け止めたモノを見せつけた。  自分の思っていたのとは違う色を見て、ロイは目を丸くした。セドリックが見せつけてきたモノが何なのか、ロイの考えは一瞬及ばなくなる。  ロイの思考がもとに戻りる前に、セドリックは口を閉じて飲み込んだ。もちろん、セドリックの喉が大きく上下したのを、ロイにしっかりと見せつけて。 「!!!!!え?えぇぇ?」  ロイの思考が追いつかない。  あんなところから出たものは、はたして飲み込んでいいものなのだろうか? 「体液は、一番魔力が濃いからな」  そう言ってセドリックが唇を舐めると、ロイはようやく理解した。学園に入る少し前に、ダンジョンで冒険者たちが言っていた。けれど、領主の息子であるロイにはまだ見せられないと言われたのだ。緊急時に一番効率の良い方法だ。 「そ、そんなの………ずるいっ」  ロイは勢いよく起き上がると、そのままセドリックにしがみついた。 後書き編集

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