44 / 50

第44話 需要と供給?

ロイはアレックスに横抱きにされたまま、寮のアレックスの部屋にいた。  いつもならいるはずのテリーは演習場に置いてきてしまったし、テオドールは魔術学科だから、呼び出さなければ普段はいないのだろう。 「ロイ?結界を張るより、この方がいいだろう?」  アレックスはそう言いながら、ロイの肩から腕へと自分の手を滑らせた。当然、ミシェルが縛った縄がある。 「縛られていたの?」  ミシェルが雰囲気重視のために縛っただけだから、たいしてきつくはない。そもそも制服の上からだから、痛くもなかった。 「解いてあげるね」  そう言ってアレックスはロイの体を起こした。とは言っても、アレックスの膝の上にロイがいるのはかわりがない。ロイはアレックスにピッタリと体をつけるような体勢にされて、アレックスは後ろ手に縛られたロイの縄を解いた。  縄が解けたから、ロイの腕が自然と下に下がると、アレックスはその腕をそのまま自分の背中に回させた。 「魔力の補給だよね?」  膝の上に座らされて、腕を背中に回すようにされたから、ロイはものすごくアレックスに密着していた。  ダンジョンでも、確かにセドリックと二人っきりだったから、アレックスと二人っきりになるのも分からなくはない。 「ロイからしてくれるのかな?」  見つめ合うように座っているアレックスからそう言われて、ロイは目を瞬しばたたかせた。 「えと、くち…で?」  セドリックとの事があったから、ロイは確かめるように聞いてみた。ロイから魔力を補給したいのだから、この体勢で補給しやすい場所となると、口しかないとは思うけれど…… 「他の方法があるの?」  アレックスの手がロイの頬を撫でた。微笑んではいるけれど、なんだかヒンヤリとした空気が漂っている。 「え?」  体液からの摂取が緊急時は一番効率がいい。とは知っているけれど、相手は王子様だし、これだけ喋れるから緊急性も無さそうだ。そもそも、ロイに器役をさせた時点で、王子様方は受け入れるのを良しとはしていないのだろう。 「誰としたの?」  アレックスの手がロイの両の頬を包んだ。温かみを感じないのは、魔力が不足しているからだろうか? 「え、と…セド、と?」  アレックスとは、砦のダンジョンでしたのだから、それ以外ではセドリックとしかしていない。学園に入る前に、冒険者たちとダンジョンに潜っていた時は、魔石を砕いて水と一緒に飲んでいた。 「やっぱり、セドリックとしたことがあったんだ?私より美味しかった?」  言い終わった時、アレックスに口を塞がれていた。ロイからして、と言ったのに、結局はアレックスからしてきた。そして、頬を挟まれて強く吸われたから、ロイの頭がクラクラとする。 「ん〜っ、ぅん」  口を開けて息を吸おうとしたら、アレックスの口の方が大きく開いて、口全体を食べられた。  アレックスの舌がロイの口の中全体を舐めまわして、唇全体を吸われた。  ロイはこんなことを想定していなかったから、とにかく苦しくて、アレックスの背中に回した手でアレックスの背中を叩いた。もちろん、拳ではなく手のひらで、だ。  アレックスが、ロイから魔力を吸い上げていくから、色んなものがロイから失われていく。特に、酸欠に近くなり、頭がぼぅっとしてきていた。 「んっ、あ……はぁはぁはぁ…」  ロイが限界なのを察して、アレックスはロイから口を離した。開放された途端に、ロイは思う存分酸素を求めて息を吸い込んだ。それでも頭の中はまだ霞がかかったようにぼんやりしている。特に、視界が悪い。目の焦点がすぐに合わなくて、目の前にいるアレックスの顔がよく見えなかった。 「かわいい、私のロイ」  そんなロイの顔を見て、アレックスは微笑んだ。  ロイの反応はいちいちと幼い。レイヴァーンから話を聞かされた時は、そんなことがあるはずがないと内心嗤ってしまったのだけれど、実際に見たときはその見た目の幼さに驚いた。  そうして、今現在自分の腕の中に捉えてみれば、おそらくそれが間違いなかったであろうと考えられる。  だからこそ、魔力供給の仕方なんてことを教えたセドリックが憎らしい。  けれど、優等生な英雄の家系ロイエンタール家で生まれ育ったからこそ、教えられていない方法があるのだ。  閨教育の一環として王族が習う魔力の使い方だ。 「ロイの魔力をわけて、ね」  アレックスは膝の上に座らせていたロイを、ゆっくりとシーツの上に下ろした。  まだ視界が戻っていないロイは、天井を見るはめになっているのにまだ気が付かない。何度も瞬きを繰り返し、焦点を合わせるのに必死だ。 「ふっう、ぅん」  アレックスはロイの制服のボタンを全て外した。やはりロイは幼いのか、素直なのか、制服の下にきちんと下着を身につけていた。大抵の騎士科の生徒は、面倒を嫌って下着なんて身につけていない。平民出身の生徒なら支給品の問題になるかもしれないが、貴族の出身でも案外着ていないものだ。  アレックスは下着越しに見えるロイの胸を撫でた。  二つある小さな膨らみは、そう言った行為には慣れていないのが、よくわかった。こうして撫でてみても、なんの反応も示してこない。 「ロイ、ここはどんな感じ?」  下着の上から爪で擦ってみたけれど、物理的な変化は現れない。ロイもゆっくりとアレックスを見つめ返すだけだ。 「そこ?」  魔力供給にここを使うなんて知りもしないから、ロイは瞬きを繰り返す。その幼い反応が可笑しくて、アレックスは緩く口の端を上げた。 「やり方を教えてあげるよ」  アレックスはそう言って、ロイの下着を捲りあげた。首の所まで持ち上げて、固定するように折り返す。 「苦しくないかな?」 「うん…だいじょぶ…」  何をされるのか未だに分からないから、ロイは戸惑いながらも抵抗はしない。  それを良しとしたアレックスは、右側に自分の唇をはわせた。そうして、舌先で未だに小さい膨らみを掘り起こすように舐め始めた。 「え?なになに?そんなとこ……ふぁぁ」  アレックスが左側を指で摘んだ途端、そこがビリっとして、腰が浮き上がった。 「ひゃつ、あ……んぁ、っん」  アレックスが色の違う皮膚を、唇全体で覆って強く吸い上げた。左側はつまむ力を緩めないから、小さな膨らみは色味を失っている。 「はぁ、あっ、なに?な、んか…で、てる?」  アレックスが音を立てて吸い上げるのを、ロイは驚いた顔で見るしかない。何も出ないはずなのに?そうは思っているけれど、ロイの体感としては、何かをアレックスが吸っている。 「ここからねぇ、魔力が出るんだよ」  口を離して、舌先で胸の小さな膨らみを示すアレックスは、イタズラが成功した子どものような顔をしている。 「え?ま、りょく?」 「知らなかった?子どもに栄養を与えるでしょ?ここら出るんだよ、魔力」  アレックスの舌先が触れた途端、またピリッとした刺激がやってきた。 「皮膚の色が違う箇所は、粘膜に次いで魔力摂取がしやすい箇所なんだ。一番目につくのは唇。次がここ」  アレックスはそう言うと、今度は遠慮なく歯を当てて強く吸い付いた。 「あ、ああぁ…ぅ、そ、だぁ……んぁぁ」  そこから確かに吸い上げられていくのがハッキリと分かって、ロイの腰は浮き上がる。  アレックスの指が左側を強く摘んで、指の腹で擦ってまるで魔力を絞り出しているようだ。 「あっ、あぁん。だ、ぁめ、強く吸わ、な、ぃで」  どこを掴めばいいのか分からないロイは、必死で両手でシーツを掴む。そのせいで肘が体を浮き上がらせて、腰をアレックスに押し付けるようになっていた。 「ダメダメダメ、ダメだからァ」  ロイの体がピクピクと小刻みに跳ね続ける。その動きが楽しくて、アレックスはさらに強く吸い付いた。舌先舐めとるようにしてみれば、絡みつくように魔力を絡め取れる。  そんなことを繰り返せば、ロイの小さな膨らみは、魔力を出しやすいようにその先端をキトンと主張させてきた。 「ロイ、ちゃんと支度が出来たみたい」  アレックスが嬉しそうに両方の先端を指で摘んだ。 「やだ、やめて」  瞬間的に、ロイは次に何をされるか理解したから、慌ててアレックスを止めようとしたけれど遅かった。 「あぁぁぁぁぁ」  ロイの体が大きく跳ねた。  けれど、アレックスは指を離さない。 「私の魔力が通り抜けた感想は?」 「ゃ、ゃあ……らめ……て」  胸を通り抜けたアレックスの魔力のせいで、ロイは呼吸がままならないほどの刺激を受けた。そのせいで口が開きっぱなしで、上手く言葉が出てこない。 「もっと気持ちよくしてあげるからね」  アレックスはそう言うと、ロイの下履に手をかけた。そうして、ロイの小さな臍の窪みを指でなぞってから、あの日の夜のように、ロイの主張に戒めをかけた。

ともだちにシェアしよう!