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第45話 実は……いた、かも
アレックスは、既に主張を始めているロイの中心を優しく撫でた。自分のとは違って、幼くて色も淡い。
先端からほんの少しこぼれ落ちる蜜があるけれど、そこにそれほどの魔力は感じない。戒めをかけたから、そのほんの少しこぼれそうな蜜が、涙に見えなくもないけれど、アレックスはこぼれ落ちることが出来なくなったその蜜を親指でぬぐった。
「ひっっん」
一番敏感な部分であることは分かっているから、そこを押されれば相当な刺激だっただろう。ロイの体が小刻みに震えるのを確認して、アレックスは唇を舐めた。
「全部脱ごうか?」
中途半場に脱がせてあるロイの上着を脱がせた。ダンジョンにばかり、潜ってすごしてきたロイの肌は白い。それが今、アレックスの魔力を流されて赤く染っていた。
「ま、りょく……あげるだ、けって…」
ロイが必死で口を開くけれど、アレックスは答えない。ロイが知らない方法で、これから魔力を貰うのだ。
アレックスは、ロイの肌を手のひらで撫で、ロイの体の中の魔力の流れを確認する。
「ここに、沢山あるね」
ロイの腹の辺り、臍を中心に円を描くように撫で回す。その手のひらの動きに合わせるように、ロイの腹の中で熱がゆっくりと集まり始めた。
「はぁ……あつ、ぃょ」
ダンジョンで、たくさんの魔物と戦った後みたいに得体の知れない熱が集まる。けれど、いまはそれが魔力だと知っている。集めて捏ねて、魔力の粘度を高めより濃くしているのだ。
「これを……私にちょうだい?」
アレックスはロイの耳元でそう囁くと、ロイの臀に手を伸ばした。指先に魔力を込めて、ゆっくりと沈めるとまずは浄化を施す。続いて水魔法で粘度のある水をゆっくりと胎内に流し込む。
「やぁ」
熱のある魔力が集まり始めたところに、水魔法が使われたから、ロイは驚いて腹に力が篭もる。思わず足がシーツを蹴って腰から逃げようとするけれど、アレックスはそんな、ロイの反応をみこしていたかのように、ロイの膝裏の辺りを掴んだ。
「ごめんね、冷たかった?」
そうは言いながらも、謝る気持ちは見当たらない。アレックスはロイの耳に唇を寄せて、舌先をロイの耳の中に差し込んだ。
アレックスが喉の奥で笑ったように聞こえた時、ロイの脊髄をアレックスの魔力が駆け抜けた。
「ゃあああああああああ」
ロイの体が大きく何度も跳ねる。頭を大きく振って、アレックスから逃げようとするけれど、アレックスはロイの耳たぶを軽く噛んで逃がさない。
「あぁ、やっ、やめてっ、やめてってばぁ」
腰がガクガクと震えて、シーツを強く握りしめているはずなのに、手のひらからはその感触が振り抜けていった。
片足が、高い位置にあって、膝が胸の近くまで迫っていた。
「っはあ、な…」
何かを言おうとした時、ロイの中にアレックスが侵入してきた。アレックスは躊躇いや遠慮など一切感じさせない動きで、ロイの胎内を押し広げ、粘膜を舐めまわすように進んできた。
「唇と、ここ」
アレックスがロイの胸にある二つの尖りを摘んだ。
「ああああああ」
ロイが背中を反らせた。
「教えたよね?皮膚の色の違う箇所は、魔力が通りやすいんだ」
アレックスは腰を器用に動かして、ロイの胎内である粘膜に、自身を擦り付ける。
「胎内から吸収されるのって、どお?気持ちいい?」
聴きながら、わざと腰を上下に動かせば、ロイの粘膜の弱い箇所が擦りあげられた。アレックスは意識してそこからロイの魔力を吸い上げた。
「はああぁぁぁぁ………ああんっ」
アレックスが摘んでいた指で、ロイの胸の尖りを弾いたから、そこで魔力も弾けた。
「あっあっあっ、うそうそ」
そう言いながら、ロイは頭を左右に振る。そこんな風に、胎内から魔力を摂られるなんて知らない。腹の中に渦巻いていた熱が、ズルズルと一点に引き寄せられて自分の身体の中のある箇所に、持っていかれるのが分かってしまった。
「知らなかった?」
得体の知れない感覚が恐怖以外の何物にもならなくて、ロイは頭を振って嫌がった。こんな風に魔力が失われていく感覚は、知らない。自分の身体の中から喰われていくようだった。
「しっら、ないっ、知らないってばぁ」
ロイが叫ぶように言えば、アレックスは嬉しそうに笑った。
「嬉しいね。ウォーエントの名を継ぐものが知らないなんてこと、私が教えるとは思わなかった」
アレックスはロイの腕を掴んで自分の体に引き寄せた。腰が密着するように、ロイの臀を掴んで位置を安定させる。
「あ………ぁ…っ…」
角度を変えられ、より深いところにアレックスの先端が押し込まれた。そのせいで、さらにロイの魔力が吸われていく。
「ああ、凄いね。ロイが私に吸い付いていると言うのに、私に魔力が流れてくる」
そう言いながらも、アレックスはより良い角度を探すようにロイの身体をゆっくりと揺り動かすから、ロイの胎内ではゆっくりと当たる位置が動いて、奥の中で吸い付く箇所がズレていく。その度に、ロイの魔力がゆっくりと吸われていくから、ロイの身体からはゆっくりと力が抜けていった。
「ぁ……あぁぁぁ……はぁ…っ」
ロイの体がゆっくりとアレックスに持たれるように傾げて、力なくアレックスの肩の辺りにロイの顎がのる。アレックスの耳には、ロイの小さな呼吸か喘ぎ声か、おおよそ判別しずらい音が届いてきた。
「ロイ?」
アレックスはロイの腰を支えるようにして、自分の体に密着させているけれど、ロイの身体からは力が抜けていて、背中に回されている手には力が入らないのか、爪さえ立ててはくれていない。
「ちょっと貰いすぎたかな?」
ほとんど瞼の閉じてしまったロイの顔に頬をよせ、唇の近くをひと舐めした。
「可哀想だから、少し返すね」
アレックスは、ゆっくりと動かしていた身体の動きを変えた。腰を前後にするのではなく、ロイの奥を叩くように動かした。
その刺激を受けたせいか、ロイの体が小刻みに跳ねる。
「っん……んんぅ」
ロイが目を開いて、アレックスを見た。開いた口からは声が出てこないで、代わりに赤い口の中がよく見えた。淡い色をした舌が、力なく動いてはいるけれど、言葉を発せられるほどの動きはしてこない。
「少しだけ、だから。ごめんね」
ロイの腰に回す手に力を入れて、アレックスは腰を下から打ち付けるような動きをした。
「はぁ………あぁぁぁ」
アレックスが支える腰を支点に、ロイの背中が大きくそって、腕は肩から完全に力を失っていた。
「いっぱいじゃないけど、注いであげる」
重力に負けてしまったロイの身体を、ゆっくりとシーツに横たえると、アレックスは一度強く抱き締めて、ロイの身体を隠すように上掛けをかけた。
「私は離宮に戻る」
甘さのない声で、アレックスは告げると見もしないでシャツを受け取り着替えを始めた。
「目覚めて一人では寂しいだろうから、お前が私の代わりにいてやってくれ」
「かしこまりました」
服を着終えると、アレックスはロイの額に唇を軽く落として、転移魔法で離宮へと、帰っていった。
後に残されたのは、死んだように眠るロイと、無表情でロイを見つめるテリーだった。
「どの辺まで代わりをすればいいんだ?」
テリーは悩みながらも、演習で疲れているから、横になって休みたい。と言う気持ちはあった。しかしながら、ここは主の部屋で、主のベッドだ。
寝ているのは主ではなく、そのご学友ではあるけれど。
色々考えて、テリーは椅子をベッドの横に置いた。さすがにこんな状態のロイと同衾してしまっては、同じくご学友であるところのセドリックに恨まれる。
「これも訓練…か」
テリーは椅子の背もたれに深く背中を預け、目を閉じた。規則正しいロイの寝息が聞こえる。自分もそれに合わせて眠るしかないから、寝心地は良くないが、テリーもロイの呼吸に合わせるように体の力を抜いていった。
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