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第1話

 俺は、我ながら浅はかだったとは思う。  王立学院において、俺は平民出自だが、膨大な魔力を持つが故に特別に入学を許されたサラに恋をした。と、自分では思っていた。それが魅了魔術の結果だったというのは、知らなかった。そして婚約者の公爵令嬢メリーベルに婚約破棄を告げ、断罪した。  ――結果として俺は、王太子という地位を剥奪され、現在幽閉されている。  メリーベルが真の聖女であり、といった理由もあるが、主に貴族の力量関係や、俺の見る目のなさ、あっさり魅了魔術にかかった事、そういった諸々の事柄が影響し、俺は廃嫡された。メリーベルは最後に会った時、麗しい笑顔で『ロイ様。見事なざまぁを受けて頂き、気持ちよかったですわ』と語っていたが、扇を持ち俺の耳元でそう囁いた彼女の言葉の意味は、今でも分からない。 「それでは、お約束通り」 「ああ」  拘束された俺は、メリーベルの前で、俺に対する尋問・拷問・再教育を施す事になっている、エドワーズに引き渡された。エドワーズは隣国の皇位継承権第一位保持者だったが、身分を隠してきていた留学生だった。俺は国外追放される事になったので、そのお目付役をエドワーズが買って出た形だ。なお、エドワーズがいなかった場合、俺は今、ここにはいない。処刑されていたそうだ。  現在、俺は母国を離れて、隣のヴォズレー帝国の離宮に幽閉されている。  椅子に座らせられており、両手は背もたれの後ろで、手枷で拘束されている。  シャツ一枚は追っているが、それ以外は裸だ。下着の中に隠し武器を仕込んでいて自害されたら困ると言われ、昨日エドワーズに剥ぎ取られた。この部屋には清浄化魔術がかかっているそうで、入浴や排泄は不要だという。食事も、栄養管理魔術が入った結界があるそうだ。睡眠は必要らしい。だからなのか、そばには巨大なベッドがある。  足枷も嵌まっているから、自由にはならない。

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