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1高坂翔馬 《こうさか しょうま》

「母さん?」 母さんが亡くなった。 癌でだったのに家は裕福ではないから俺に隠して働き続けてくれてた。 なのに俺は………当たり前に学校行ってのんきに部活して気付いたら…… 母さんは倒れて病院に搬送されたけど俺が着いた後すぐに 「ごめん……ねしょう……ちゃ…」 ピーーーーーーーー それから母方の祖父母が喪主で葬式や告別式も行われた。 それなのに父さんは来なかった…… 離婚したからって酷すぎるよ。 母さんは22で産んでるからまだ35歳だったのに…… 父も38と若い方で両祖父母も若い方だと思う。 母さんには姉がいて従兄弟に当たる子供が二人いる。 それから3月になって突然父から引き取ると連絡が来た。 祖父は父さんに激怒してたけど法律上親権が認められてどうしようもないと。 15歳未満は親の権利で決めれるから 俺は正直今更一緒に暮らしたくないと思ってたけど俺のスマホに着信があった 「なに父さん?」 「翔馬久しぶりだな少し声も低めになってきたな。パパが引き取る話は聞いたな?荷造りを今の内にしておきなさい。当日迎えが行くから4月から父さんの学校に入学させるからお前は寮に入る事になる。転校だ、手続きもした」 父さんの学校って確か噂でしか知らないけどここからは遠い幼稚園からエスカレーター式に上がれる中高は全寮制の雌論学園 「ちょっと待ってよ!急に転校なんて……しかも雌論学園って偏差値レベルが高くてお金も掛かるでしょ?俺は頭良くないし勉強についてけないよ。 これただの裏口入学ってやつになるんじゃないの? それにそっちのおじいちゃんは知ってるの?」 「ああ、2人で提案したんだ。とにかく来てからゆっくり話そう。学校で待ってるぞ」 「父さんは迎えに来ないの?母さんの葬式にも来なかったし、なのになんで今更親権取ったの?」 「翔馬怒るのは分かるが父さんにも事情があるんだ。とにかく親権は父さんになったんだ、嫌でも来てもらう。会えるの楽しみにしてるぞ翔馬」 プツン! 父さんはいつも勝手なんだから………… 「翔馬……」 後ろから声がして振り向いたら母方のじいちゃんか 母さんが亡くなってから引き取ってくれて家からも近かったから転校も必要なかったのに…… 「父さんの全寮制の学校に入れって言われたよ…○○日に迎えがくるって…」 「すまんな翔馬じいちゃんの力不足だ、何とかここで暮らせるように説得したんだがアイツは親権を取ったから口出しするなと言われてしまって弁護士にも無理だと言われた……すまない」 「いいよ、転校は不安だけど何とか頑張る。ありがとうじいちゃん」 こうして俺は迎え当日荷物を準備して車を待った しばらくして黒の高級なワゴン車が来た。 「高坂翔馬様ですね?雌論学園の者ですお荷物はそれで全てですか?」 「は・はい…」 スーツの男は全て積み込んでくれて俺も乗るよう言われた 「じいちゃん、ばあちゃんまたね、夏に帰るからね?」 「本当にすまない翔馬何かあったらいつでも連絡しなさい」 「体に気を付けなさいね?寂しくなるけど頑張るのよ?」 「うん、行ってきます」 俺は車に乗り込み出発した。 急だったから友達にはLINEで別れを伝えた ああ…緊張してきたなぁ 雌論学園……男子校は初めてだし俺みたいな外部の人間はいじめられないだろうか? 6歳から空手は習ってたけど俺は平和主義だし臆病だし…… 勉強もだよ……いくらエスカレーター式でもあまりに成績悪かったら立場もないよ…… それもあっちのおじいちゃんがどうにでも出来るのかな? そもそも俺が入学した時点で裏口じゃないか…… ちゃんと受験して受からなかった人も多くいる筈なのに……知られたら生徒中を敵に回しそうだし、理事長の孫とか校長の息子とか言わない方がいいよね? しのごの考えてる内に 「もうすぐ着きます、あちらが我が雌論学園です」 車に乗って2時間くらい……東京からかなり離れてる…… えっ?こんな屋敷みたいな建物がそうなの? 屋敷みたいにデカイ壁で囲われてるし、 敷地は広いし、建物はいくつかあるけど…… 回りは森とかで人の気配もない 遂にゲートまで来てしまった 期待と不安と何か一気に押し寄せてきた 大丈夫だ翔馬、頑張ろう………そして車も1つの建物の手前で停車した。 そして大きいゲートの門も閉じた…… ガチャン!

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