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第21話 伴侶になった夫夫
――――1週間後。
「俺たち、伴侶 に……なったんだよな」
あの燃え盛るような発情期 が明けて、項に刻み込まれた欸性 の印をしみじみとなぞる。これで玖 は俺の伴侶 になったのか。
地球の読み物や、哦性 からすれば、欸性 の伴侶 になった感覚……なんだろうがな。
「そうだな、リュイ」
そして玖 も頷く。
「私は正真正銘、リュイの伴侶 となった」
うむ。俺の伴侶 と言うところはちゃんと分かってるな。通常の欸性 と哦性 の感覚とは反対になるのだ。
烈哦性 からすると、烈哦性 の欸性 と言う感覚で、項の噛みあともそれを示しているのが不思議なところ。
この項に欸性 の遺伝子を記録し、どこへ行っても追い掛ける気概も持ち合わせる。
烈哦性 は番った欸性 を決して逃がさない生き物なのである。
「それで、リュイ。晴れて伴侶 になったのだ」
「……うん?」
こちらの世界では番になることでとりわけ何かあっただろうか……?ラッブラブからさらにラッブラブになる……。あとは哦激素 が伴侶 にしか効かなくなる……くらいだろうか。
「これを贈ろうと思ってな」
ふぇ……っ!?贈り物っ!?
やっぱりこの欸性 はどこまで超級丈夫 なのだろうか。
玖 がサッと床 の傍らの引き出しから取り出したのは明らかに高そうなケースである。
「開けてみて欲しい」
「う……うん」
伴侶 になった記念のプレゼント……か。壊さないようにそっと箱の蓋を開けばそこには……。
「これ……項帯 ……?」
今までのとは違う、新しい項帯 である。
俺の髪と同じ黒い高級な布地にあしらわれた赤い宝石。これは……玖 の色だ。
「オーダーメイドで注文してみたんだ。気に入ってくれたか?」
「……うん!何か、俺の色の中に玖 の色があるって感じがして、いい!」
まさに烈哦性 の欸性 ってのを体現しているみたい。
いっちょまえに自分の色まみれにしてきたら殴るけど、烈哦性 に理解のある玖 がそんなことするはずないもんなぁ。
「あぁ、リュイならきっと喜ぶと思ってな。だからこれからも私は、リュイの伴侶 でいさせてくれ」
「……っ、もちろん!」
こんな素敵な贈り物をもらった上にそこまで言われちゃぁ、頷いてやらないわけがない。
「それじゃぁ……私につけさせてくれないか?」
「うん、いいよ」
こくんと頷けば、そっと背中を玖 に向ける。
「ずっと思っていたが……リュイの背中はキレイだな」
すすっと玖 の指が俺の背骨をなぞるように触れる。
「ひゃあぁっ!?こら、いきなりどこ触ってんの!?」
「すまんすまん、許してくれ。そこにリュイがいるとついつい吸い付きたくなってしまう」
「んもぅ……今は項帯 だろ?」
「そうだったな」
そう言うと玖 は次こそ項帯 を手にとり、俺の首の前に項帯 を乗せると、後ろの留め具をカチカチと弄る。
時折玖 の細く長い指が俺の首筋に触れるもんだから、その度にびくんと来てしまう。
やっぱり項の周辺を触られると、どきどきしちゃうな。
そして項帯 を付け終えれば。
「終わったぞ」
「……うん」
ちょっと照れながらも再び玖 に向き合えば。
「ふふ……っ、どきどきしているリュイもかわいいな」
「ぎくっ!?」
な……何故分かったぁ――――っ!?
「そうか、図星か?」
「……っ!」
は、はかられたぁっ!?まるで全部お見通しと言わんばかりな笑み。何か悔しい感じ~~!
「お……俺だって、玖 のことお見通しだからな?」
「ほう……?そうなのか。では、当ててみてくれ」
「う……うむっ」
この余裕綽々な笑みよ。やはりこの世界の欸性 も超級 、有能 、帥哥 3拍子は揃っていると言えよう。しかし……っ!俺だって烈哦性 だ!負けていられない!
「玖 も俺の伴侶 になれて、俺に毎晩かわいがってもらいたいに決まってる……!」
何せ、俺たちは烈哦性 と欸性 の伴侶 だもの!
「はは、それには代わりないと思うが……」
「が……?」
「私はいつでもかわいがってもらいたいな……?」
超級 がとどまるところを知らない……っ!
「……仕方ないな」
けど、そんな玖 も含めて玖 が好きだから。
そっと玖 の髪に手を伸ばし、優しく撫でる。
「いいこ、いいこ」
褒めてあげないでもないのであった。
【完】
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