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開発

 てつやの甘い声が響き、始めてからこっち、ずううっと後ろからてつやの乳首をいじっている京介は、てつやの肩に顎を乗せて言う 「お前ここ…感じるよな…いつもいい声出す」  指で潰したり人差し指と親指で摘んだり好き放題弄り倒しているが、さほど痛くは無いのか、てつやも感じるままに身を捩っている。 「ん…気持ちいい…実はそこは弱かったりするんだよな…」  付き合い始めて4ヶ月。やっと自分の感じるところを吐露するようになったか…と京介はてつやの耳にキスをしながらクスッと笑った。 「耳…やめろってば…」  息がかかった耳に肩をすくめて、てつやは自身の胸を弄んでいる両手に自分の両手を重ねる。 「あんまり…そこやってると俺…我慢できなくなっちまうから…」  ベッドに座った京介の足の間に後ろ向きで座っているてつやが、京介の肩に頭を預け感じることに耐えながらそう言うと、京介は開かれた首筋に舌を這わせ 「どこまで我慢できなくなるか、俺に見せてくれよ」  と言いながらそこにキツイキスマークをつけた。 「おい〜そんな見えそうなところに〜〜」  文句を言っているようだが、その声は乳首をいじられている感覚に押されて随分と威勢の無い声だ。 「それにどこまでって…俺1人でイッちまうぞ…」  その言葉に、より一層強く乳首を摘み上げた京介は 「ん、それが見たい…。お前がここだけでイクの見てみたい」  と耳元で囁く。 「んぅっ…」  再び肩に頭を預けたてつやは、京介の手をどかそうと力を込めるが、それをすればするほど乳首への刺激が強くなって、てつやの声がより一層高くなってしまう。 「も…そこやめ…っ」  身悶えしながら京介の髪を上から掴んだり、広げた足に手をついたりするが、そこへの刺激からは逃げられない。 「ほん…とにだめだから…あ…ひとりでイくのや…だっんっ」  京介の片手がてつや自身を握り、角度をもったそれを優しく扱き始める。 「いいよイッたって…俺は今日はそれをみたいんだから…まあ、ここだけでイクのはまだ無理かもだけどな」  言って左手でつまんでいる乳首に力を込め、そして右手でてつや自身を、そして耳元で囁くというてつやの弱いところ3コンボで京介はてつやを追い込んでゆく。  甘い声と共に腰が動き出し、てつやは肩に頭を預けたまま上り詰めるための意識を集中しはじめた。  京介は握る手に緩急をつけ、乳首は少しずつだが力を込め前に引っ張るように摘んでいる。 「あっあっあぁ…」  声が(せわ)しなくなり、先走った液体が粘着質な音を立てる中京介は頃合いを見て乳首を思い切り前へと引っ張った。 「あああうっだっめあっそれああっ」  想定外の声がてつやから漏れ、一瞬京介さえ躊躇したが瞬時にその声は背筋をゾワゾワさせ、乳首を掴む指により力を加えさせた。 「んんんんんっ」  全身を反らせて、てつやは京介の手の中で弾ける。 「あっ…あぁ…」  余韻でガクガクと身震いをさせ、未だ断続的に流れ出る液を京介は手で絡め取っていた。 「興奮してたなぁ…」  一部指を舐めながら、ティッシュで手を拭う京介はてつやの前も拭いてあげている。  肩で荒い息を吐いていたてつやはゆっくりと起き上がり、そしてくるりと回って京介と対峙した。 「なあ、この前からなんなんだよ」  ティッシュをゴミ箱へ放って、京介もあぐらを書いててつやの顔を見つめる。 「何って?」  楽しそうに笑っててつやを抱きしめようとするが 「ちーがーう。お前何か企んでるだろ。ちょっと前から何かっていうと俺の乳首弄りやがって。なにしてんだ?」 「お前さ、痛いの嫌だって前に言ってたじゃん?でもお前ここ…感じるだろ?痛くしたってさ」  人差し指でてつやの左乳首をぷるんっと弾いて、京介はてつやの目を見た。  弾かれた勢いで身をすくめたてつやだが、覗かれた目を潤んだ瞳で見返す。 「ほら、こんなことでお前の身体喜んじゃうじゃん」  にっと笑って、京介はてつやを引っ張り足を伸ばした自分の上に座らせた。 「だから、そこは弱いってさっき言った。それに…」  目線を合わせるように猫背になって、てつやはゴニョっと小さな声。 「それに?」 「お前があまり弄るから…俺普段でも何かが触れるとビクってなるようになっちゃったんだぞ…どうしてくれる?」  グレーアッシュに染めたマッシュウルフの前髪が、柔らかいパーマも相まっててつやのアーモンド型の目を半分見えたり見えなかったりと揺れている。  その前髪を軽く分けてやって、 「そんなに開発されてるか?もう」  と言って京介は笑った。 「笑い事じゃねえだろ…どこ行ったって何かが掠めるたびにビクビクする俺の身にもなれ」  不貞腐れたような顔で、今度は普段は真ん中分けになっているが今はラフにおでこで乱れている京介の髪を分け返す。 「そりゃあそうだろうなぁ…こんなにぷっくりしちゃってるし…」 「んっ…おい〜やめろ…って」  身を屈めて、言うようにぷっくりと立ち上がっている男にしては色の薄い乳首を ペロリと舐めた京介の頭を持って、てつやは自分から引き剥がす。 「だから、なんで急に俺の開発なんて始めたんだって話だよ」  そう言われて、京介はどう言ったものか…としばし思案する。 「言えない理由があんの?」  苛立たしそうに背筋を伸ばして、てつやは上から京介を見下ろした。  身長がそう変わらない分、膝に乗せてもでかいものはでかい。 「あ〜うん…なんて言うか…」  珍しく口ごもる京介に、てつやは首を傾げてーめずらしい〜ーと再び猫背に戻る。 「なんだよ」 「ん〜〜笑わねえ?」 「笑うようなことなんだ?」  そうきいてそう答え、 「じゃあ先に笑っとく ぷぷーっ」 「お前茶化すなよ」 「ごめんごめん。で、なんなん?」  また乳首に伸びそうになった手を止めて、その手を自分の腰へと回させた。  その手でてつやをより近くに引き寄せた京介は、実は未だ起立している自分をてつや へと押し当てる。 「話が先だからな」  「そこ」を見つめてはみたが、てつやはじっと再び京介の目を見て言い放った。 「判ってる」  京介も笑っててつやの腰を撫でるに留めた。 「ちょっと前にさ、昔の話になったじゃん。お前がヤンキー時代のさ」 「いやだから、ヤンキーじゃないって」 「それはどうでもいんだよ。ただなあ、お前俺より男と遊んで来たわけじゃん。俺がふつーにお前とヤッてもさ、そいつらと…差がないんじゃないかな…って俺考えちゃって」  てつやの顔が一瞬 −なんの話だ?-という風になり、そのすぐ後に面白そうな笑みを浮かべる。 「お前〜妬いてんの?」  嫉妬しているつもりはなかったが、そう言われて京介もーあ〜そういう感情なのかもなーと納得して、少々恥ずかしい気持ちも湧いてきた 「だからさ、俺が…俺1人しか知らないお前を見たくて、前に乳首いじった時めっちゃ感じてたの思い出して開発しちゃおっかなって」  本当に珍しい京介のデレた顔。  てつやは呆れ4分の1、面白さ4分の1、後の半分全部は嬉しさを噛み締め、段々いろんな顔が見えてくる時期をてつやも感じていた。 「しちゃおっかな♡ じゃねえんだよな。そういうことならちゃんと言え」 「言えるかよ!自然に持って行こうと思ってたのに」 「自然にってとこはかなり無理があるだろ…されてる当人はびっくりするわ、急に始めっから」  ここ数週間に渡り、事あるごとに京介は、てつやの乳首をいじってきていたのだ。テレビを見ている時に後ろからモニュモニュしてきたり、作業をしていても隙をついてモニュモニュ。行為の最中も半分近く乳首を弄り、吸い付き、舐めて転がす。正直これが自然にと言うのは無理だ。 「でも、気持ちよさそうだったぞ。いいじゃねえかそれで」 「あ、開き直ったな。じゃあもう乳首禁止」 「なんだよ横暴だな」  そんなつまらない言い合いの最中、てつやはピコン!とあることが浮かんだ。京介が自分だけの俺が見たいと言うんだったら、俺も俺だけの京介見たっていんじゃね?という…… 「あ、いいこと思いついた」 「なんだよ」  この、ワクワクしたようなてつやの顔はてつや以外にいい話がもたらされたことがないのを京介は長い付き合いで知っている。  心の隅っこで警報が鳴った。   「で、いいことって何」 「お前がお前だけの俺を開発したんだから、俺も俺だけのお前が見たい」 「うん。まあそうだろうな。じゃあ何がいい?お前の言うことなら大抵のことはきけるぞ」  甘々な言葉にてつやの顔がワクワクからニカッに変わる。 「マジ?じゃあさ、俺…お前抱きたい」  照れもなく、爽やかにそう言われーえ?ーとは思うがつい『なんだそんなことお安いご用だ』と言いかけて 「は?」  と結構間の抜けた声を出してしまった。 「俺の言うことなんでも聞くって言っただろ」 「いやいや、『大抵の事』って言ったんだ。それは…ちょっと…無理…っていうか…」 「ずり〜ぞ!無理とか言わせるわけないだろ。お前だって勝手に始めたんだし?俺だって勝手にやらせてもらう」  2人の間で起立していた京介の物も、今の話で急速に萎えてしまった。 「こんな萎えるほどのことだぞ!お前は気持ちよかったんだからいいけどな俺には…」  指さされた股間をてつやもみつめて『そんな?』と顔をあげる 「されたことないん?京介」 「無いな…ずっとする方だった」 「俺なんでか知らないけど、最初っから…あの事件からだけど最初から受け手ばっかだったんだよな。良く考えたらおかしくね?」  女だって抱いてきたのにさぁと言いながら、既に京介の萎えた物を手にしている。 「いや、ほら…急に言われても心の準備とか…結構…」 「いらねえだろ〜?心の準備なんてさ。だあいじょうぶ。俺だぜ?準備はちゃんと判ってるって」  以前にも『俺だぜ』のフレーズは聞いたことあったが、あの時とは状況は全く違う。何としても阻止したい京介と、なんとしても一度はタチ役をしたいてつや。  冷や汗とワクワクのせめぎ合いは、体感で5分にも感じたが実際は30秒ほど。  動いたのはてつやだった。 「ローションもあるし、ゴムだってある。全然オッケーじゃん?」  オッケーじゃん、と言われて『そうだねー』とは笑えない京介だったが、もう既に勝手にてつやの開発をやってしまった手前、どう言葉を繋いでいいのか頭が真っ白になりかけている。 「いいだろ〜?なぁ〜京介〜」  無理矢理にだってできるだろうに、流石にきついことがわかっているてつやはしつように許可を求めてきて、その許可の求め方がまたあざとかった。  この言い方は結構京介に効果的。 「ぐっ…ん〜〜」  苦渋の選択は続く。

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