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僕のとなりに君がいて。2 後編 ※
もう一度修くんの上に跨がって、首筋に、胸に、二の腕のほくろに唇を落としながら、時々強めに吸ってオレだけの印をつける。上から見下ろして、赤く色づいたその印を見ながら大きくなった修くんのものを手で包んで擦り上げると、修くんからは吐息混じりの声が漏れて、それがオレの独占欲を満たしていく。オレでいっぱいいっぱい、気持ちよくなってほしいな。
「ナナ」
口でしようと顔を近づけたとき、修くんに名前を呼ばれて頭を撫でられる。これは“ちょっと待って”っていう合図だ。
「なあに?」
「一緒に、しよっか」
「‥ん」
頭を撫でていた手でそのまま頬を撫でられて、その気持ちよさに流されるまま、オレは小さく頷いた。
「‥ん、ふ、あっ‥あ、っ‥」
「っ‥は‥ぁっ」
修くんのを一生懸命舐めようとするんだけど、修くんに下から同じようにされて、それがすごく気持ちよくて‥上手にできない。修くんの上で情けなくヘタっていると、不意に後ろも弄られて、気がついたらオレは修くんにされるがままになっていた。
「ねぇナナ、ここも舐めていい?」
修くんのとろけそうなほど甘い声が聞こえて、思わず「うん」って即答しそうになっちゃったけど、すぐに冷静になって慌てて修くんの方を振り返る。
「‥は??ダメ!ダメダメ!!」
「何で?」
「きっ、汚い‥から」
「さっきシャワー浴びたじゃん」
「そういう問題じゃなくて‥‥だって、その‥そんなのしたことない‥から‥」
そりゃ映像とかでちょっとは見たことあるけど‥自分がするなんて考えたこともなくて、想像したら怖いのと恥ずかしいので心臓がものすごく速くなった。修くんは一瞬すごく驚いた顔をして‥でも何だか嬉しそうなのはどうしてだろう。
「俺、今日誕生日なんだけどな」
「うぐっ‥」
ぷっ‥
プレゼントいらないって言ってたのにー!
「駄目?」
「‥‥修くんわがまま」
「いつも聞いてくれてるじゃん」
‥ずるい。困ったような優しい顔でそんな風に言われたらもう断れなくて‥オレは返事をしなかったんだけど、きっといいよって顔に出てたんだろうな。
「あ‥‥っっ」
不意に腰を引かれてバランスを崩したオレは、膝立ちのまままた修くんの上にヘタってしまった。太ももやお尻を撫でられてビクビクと体が震えると、その手にグッと力が入って両手で押し広げられて、間を開けず後ろに違和感を覚えた。
「っ‥なに、これ‥やだ‥っ」
柔らかくて生温かい初めての感触に、怖いのとすごく気持ちいいのとでオレはパニックに陥ってしまう。腰を引こうとしても両腕でガッチリと掴まれて全然動けない。
徐々に熱を帯びていく修くんの舌は、不規則な動きでオレの敏感な部分を愛撫して徐々に解していく。舌先で刺激されて厭らしくびくつくそこにゆっくりと熱い舌を差し込んで、修くんはオレの気持ちいいところを探る。時々聞こえてくる湿った水音と修くんの息遣いが余計にオレの頭を混乱させ、気持ちよすぎてずっと先走りが止まらなくて、それがポタポタと垂れていつの間にか修くんの体を濡らしていた。
「あっあ‥ん、っあぁ‥っ」
おかしくなりそうで止めてほしい、だけど気持ちよくてもっとしてほしい。そんな矛盾した思いがグルグルと頭の中を廻って、結局は言葉にならない無意味な音だけが口から漏れるばかりだった。
「や‥あっ、あ‥出ちゃ‥っ、ああぁっ」
信じられないくらい甘ったるい声を上げてオレはあっという間にイってしまった。ゴロンと力なくベッドに仰向けになると、起き上がった修くんと不意に目が合って、まともに顔が見れないオレは慌てて両手で顔を覆う。
「‥」
「ナナ?」
「‥」
「何で顔隠すの?」
「恥ずかしくて‥死にそう‥」
オレが泣きそうな声を出すと、修くんは少し笑って優しく頭を撫でてくれる。大きくて温かくて、オレの大好きな修くんの手。
「ホント、可愛いなぁ」
頭を撫でながら、修くんが独り言のようにつぶやいたのが聞こえた。可愛いって言われるのは正直あんまり好きじゃない。男としてはやっぱ、カッコイイって思われたいじゃん?‥だけど修くんだけは特別で、修くんにそう言われるとすごくすごく嬉しくて‥これがきっと恋ってやつなんだろうな。
「あっ‥‥キス、するの?」
「やだ?」
「だ、って‥その‥」
修くんに覗き込まれて思わず顔を反らしてしまった。今さっきまでの行為を思い出したらなんとなく抵抗があって、少し躊躇ってしまう。
「じゃあしない」
オレの気持ちを察してくれた修くんは、そう言って唇以外の場所にそっとキスを落としてくれる。耳や首に舌を這わせながら、時々唇に触れる指の感触にドキドキしてしまって、
「やっぱ‥キスしたい‥」
結局オレは、そうねだってしまった。
「ふふっ、うん」
優しく笑って、いっぱいキスをくれながら、修くんの手がゆっくりとオレの肌を撫でる。その手はやっぱり優しくて、すごくすごく気持ちがいい。指が胸の突起に触れると、オレの体は分かりやすいくらいに反応して、ふっと覗き込んだ修くんの満足げな顔は、なんだか‥すごくエッチだ。
その手は徐々に下に降りてきて、一度イって敏感になった場所は、修くんの指を簡単に飲み込んでしまう。漏れそうな声を必死に抑えるけれど、指が増える感覚に全身が熱くなって、気づいたら涙が溢れてた。
優しく丁寧に解してくれる修くんだけど、オレにはそれがもどかしい。今すぐ修くんと繋がりたい、それしか考えられなくて、オレは修くんに縋り付く。
「早くっ‥修くんの、早く入れて‥っ」
「ナナはわがままだなぁ」
「それ修くんが言う?!」
「ははっ、そうだな。‥ってか、俺も限界」
「わっ‥な、に」
グイッと腰を持ち上げられるとそのまま大きく足を開かれて、あまりの恥ずかしさに思わず目を逸らす。こんなの‥全部見えちゃうよ‥
「恥ずかしい?」
「‥う、ん」
「俺も恥ずかしい」
「‥‥ふふっ、なにそれ」
思わず吹き出して修くんを見ると、修くんもオレと同じように照れ笑っていて。
「今日は恥ずかしいこといっぱいしよ?」
時々びっくりするくらい大胆になる修くんにオレはいつも驚かされて、それで‥それがすごくカッコよくて愛おしくて、気づいたらオレは修くんの全てを受け入れてしまうんだ。
さっきたくさん弄ってくれたから痛みはないんだけど、修くんが中に入ってくるときの内側が押し広げられる圧迫感と擦れる快感で思わず声が漏れてしまう。
「ナナ分かる?全部入ってるよ」
「んっ‥‥う、ん‥っあ、あぁっ」
修くんにいっぱい見られて恥ずかしいはずなのに、さつきからずっとゾクゾクが止まらなくて‥オレ、きっと今すごく興奮してる。
抜けそうなくらいギリギリまで腰を引いたと思ったら奥まで一気に突く。いつもよりゆっくりと腰を動かして繋がっているのを確かめるように、修くんは何度も何度もオレの中に深く入ってきた。修くんの動きは徐々に速くなっていって、その強すぎる刺激に、修くんの腕を掴んだ手に思わずぐっと力が入る。少しだけ顔を歪めた修くんに気づいて謝らなきゃ‥って思うんだけど、声を出すことすらままならなくて、腕を掴んだまま心の中で何度もごめんねって謝った。
「ナナ、ごめんね」
ポツリとそう呟いて、修くんの動きが止まる。なんで謝られているのかわからなくて、オレはゆっくりと修くんの顔を見上げた。
「つらい‥?」
‥気づかないうちにまた泣いていたみたい。目元の涙を拭いながら、修くんは心配そうにオレに尋ねる。修くんは本当に優しい。そういうところが本当に大好きだ。
ブンブンと勢い良く首を横に振ったオレは、両腕を伸ばして修くんの体を引き寄せる。つらいわけない。むしろその逆だ。
「こんなの初めて‥」
抱きしめた熱っぽい体から伝わってくる心臓の音が、少しだけ速くなった気がした。
「ナナの初めてをいっぱい俺にちょうだい」
「あ‥っ、‥うん‥っ、う‥あっあっ」
息もできないほど身体全部で感じて、溶けてしまうほど何度も何度も繋がって。
オレは今日もまた、修くんに溺れていく。
*
「ん‥‥あ、ナナ起きてたの?」
「うん」
先に起きたオレは、なかなか起きない修くんをじっくりと観察しながらさっきのエッチのことを思い出していた。やっと目を覚ました修くんは、声をかけても相変わらずなオレを首を傾げて不思議そうに覗き込んでくる。
「‥どうしたの?じっと見て‥」
「‥‥‥」
「ナナ?」
「‥恥ずかしいこといっぱいしよ?」
「――っ!ナナっ!!」
「あはははっ、ごめーん!」
ニヤッと笑ってさっきの修くんのモノマネをすると、真っ赤になってオレの頬を抓ってきた。こういうところがすごく可愛いなって思っちゃうくらい、オレは修くんに夢中だ。
「修くん、お誕生日おめでとう」
ちょっとふてくされた修くんに抱きついて、もう何度目になるかわからないこの言葉を修くんに贈る。おめでとうじゃ伝えきれない。出会えたことが奇跡で、神様に感謝。
「生まれてきてくれてありがとう」
今日はこのあと何をしよう。電車に乗ってショッピング?DVDを借りてきてゆっくり映画鑑賞?それとも‥
修くんの温かい腕の中で、オレはそんな幸せな想像に頭を悩ませた。
おわり
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