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四十六 この手を離さない

「っ……!」 「あ、あ……、あ、あ――……」  ビクビクと小刻みに身体を震わせてから、吉永の手足がばたりベッドに投げ出された。どうやら、吉永もイったらしい。腹の上に精液を溢していた。 「あ――、ちょ、多すぎ……」 「うるせぇ。溜まってたんだよ」  ずるんと性器を引き抜くと、ごぽっとアナルから精液が吐き出された。なんというか、エロい。 「腹ン中、気持ち悪い……」 「ゴム着けりゃ良かった……」  その方が持ったと思うし。と、反省していると、吉永が腕をとってしがみついてくる。 「ん、でも、気持ち良かったし」 「……なら、良いけど」  そう言いつつ、頬を擦り寄せてくる吉永に、胸がざわめく。 (わざとやってンのか……?)  人前じゃ絶対にしない、甘えた様子に、腰を引き寄せ顔を寄せる。唇を軽く合わせると、それじゃ足りないとばかりに唇に噛みつかれた。上唇を軽く噛まれ、舌が入ってくる。 「っん」 「ん――、航平……」  俺の膝によじ登って、吉永がしがみついてくる。脚に腰を挟まれ、ぐっと込み上げるものを堪えた。 「終わりじゃ、ないだろ?」  ハァと吐息を吐きながらそう聞かれ、ゴクリと喉をならす。当然、そのつもりではあるけど。 「寝かせねぇぞ」 「望むところ」  売り言葉に買い言葉みたいなやり取りをしながら、俺たちはもう一度キスをした。    ◆   ◆   ◆  朝日が黄色い。頭ぐらぐらする。完全に寝不足だな。  隣を見れば、俺の腕にしがみついたまま、すやすやと寝息を立てている吉永の姿がある。 (マジで、夜通しヤってたし……)  腰は痛いし、筋肉痛だし、タマもなんか痛いし。どうかんがえてもヤりすぎだ。 (……吉永は――平気そうだな)  穏やかな寝顔は、少し嬉しそうにも見える。ぐっと何か込み上げるのは、愛おしさとか、そういう類いの感情で。 (ああ――マジで、俺。……吉永が好き、なんだな……)  ここのところ、泣きそうな顔ばかり見ていた。けど、こういう穏やかな顔を見ていると、何故だか無性に幸せな気持ちが沸いてきて、泣きたくなってくる。  色々あったけど。大切にしよう。俺と吉永じゃ、ケンカもいっぱいするだろうけど。今日のこの日を忘れないようにしよう。 「吉永……好きだよ」  眠る吉永の額にキスをして、囁く。  まだ、先のことは不安だけど。今はこの幸せを噛み締めよう。  それから。 (もう、この手を離さないで、繋いでいよう)  吉永の手を握り締め、そっと瞳を閉じる。  朝日がカーテンの隙間から、頬に降り注いだ。

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