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バレちゃった
※ネコヤ視点です
「ねぇ、実のところさ、2人って付き合ってるんでしょ?」
遠田さんが席を立つや否や
飯田さんがこっそりと訊いてきた。
驚いて「え?」としか返せない。
本当はちゃんと「違いますよ!」と言えればいいのに、嘘をつかない自分が恨めしい。
「やっぱそうなんだ〜。遠田も頑なに否定するけど、雰囲気でわかるし。この年でルームシェアってのもなんか変だし」
「そのっ、遠田さんが隠しているのであれば
どうか他の人には言わないでください」
「どうしようかな〜」とニヤニヤする飯田さんに僕は焦って思わず、机の上の飯田さんの手の裾を掴む。
「もし、知られちゃったら、僕、家を追い出されるかもしれなくて…。遠田さんは多分、僕のこと好きじゃないから…」
「ごめんごめん。冗談だよ!びっくりしてるネコヤくんが可愛くて、思わず意地悪しちゃった!誰にも言わないよ!」
「へ?」
急に力が抜けて、僕は涙が出た。
「えっ!?本当にごめん!泣かないで〜。もう酷いことしないから」
飯田さんは焦ったようにテーブルにあった
ナプキンで僕の涙を拭いてくれた。
「す、すみません」
僕も慌てて押し付けられたナプキンで
涙を拭こうとする、と
「おい、何やってんだ飯田」
遠田さんが帰ってきた。
怒っている。
「げっ、遠田。お前もっと電話してろよ」
「げ、じゃない。何で八尋が泣いてるんだ?」
「ちがっ!これは、飯田さんの冗談に僕が驚いただけで!」
「ネコヤくん、ごめんねぇ。もう言わないからね」
必死に2人で、遠田さんに何でもないとは
伝えたんだけれども
遠田さんは「解散する。2度と飯田には会わせない」と、お金だけ置いて僕の手を引いて居酒屋を出た。
本当に情けない…
僕がちゃんとしてないせいで…
……
一方で原因となった飯田は「好きじゃないって雰囲気じゃないけどな」と苦笑しながら、
1人居酒屋寂しいな〜と酒啜っていた。
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