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第34話

 その日は朝から緊張しっぱなしだった。  暖に聞くまでもなく自分が受け入れる側なのは分かっていた。  ここにきても琥珀の男同士云々の精神は残っていて、本当は両方するのが理想だったが、きっと暖はそうじゃないだろう。  一応ネットでいろいろ調べ心の準備はしたつもりだ。  暖の家に着くまでにアレコレと想像を巡らす。  昼過ぎに行くから夕食まで暖の部屋でゲームをして遊んで、そのあと夕食を食べて、お風呂に入って……。  お風呂から上がったらすぐにするのかな? それともベッドに入ってから?   エッチのタイミングをぐるぐる考えているうちに暖の家に着いてしまった。  暖の家のインターホンを押すのにこんなに緊張するのは初めてだった。押したと同時にドアが開いた。 「部屋の窓から琥珀が来るのが見えてた」  暖はぐいっと琥珀を玄関に引き込むと、後ろ手にドアを閉めいきなり口づけてきた。出迎えの挨拶のキスとはほど遠い色濃いキスに琥珀の頭の芯がぼぉっとなる。 「部屋に行こう」  暖は低く囁くと琥珀の手を取った。琥珀は暖に引かれて階段を上がりながら、こんなゆるい頭でゲームができるだろうかとぼんやり考えた。  部屋に入るとすぐに再び深いキスを交わす。暖の手がせわしなく琥珀の身体を動き回り、服の上から胸の突起をさわさわと触られ、気持ちが高揚してくる。 「暖、これじゃゲームができなくなっちゃうよ」 「ゲーム?」  暖は琥珀の上着を脱がせると、そのままベッドに押し倒した。首筋に口づけながらシャツの中に手を滑り込ませてくる。  胸の突起を見つけるとキュッとつまみ、待ちきれないといったようにシャツをめくり上げ、口に含んできた。  琥珀は短く声を上げ、暖の舌で弄ばれる刺激に指を噛んだ。 「だ、だん、げ、げぇむは……?」  舌足らずな甘えた声になる。 「さっきからゲームゲームってなんだよ、後からいくらでもできるだろ」  暖は琥珀のシャツを剥ぎ取ると、自分も上半身裸になる。  ここでようやく琥珀は今の状況を悟った。 「い、今からするの? ご飯もお風呂もすっ飛ばして?」 「ずっと待ってたんだ、もう待てない」  暖の中心はすでに服の下で窮屈そうに膨れ上がっていた。  覚悟はしていたが、想定外の早い展開と暖の生々しい膨らみを目の前にして、琥珀は怯んだ。  無意識に暖の下から逃れようとして、すぐに引き戻される。暖は琥珀の下半身に手をかける。 「ま、待って」  琥珀はその手を遮ろうとするが、振り払われる。 「待たない」  下着ごとずり下ろされ、すでに半分ほど頭をもたげた琥珀の中心が晒される。身体を捻って隠そうとしたが押し戻され、そこにはっきりとした暖の視線を感じた。 「明るい、やだ、そんな見ないで」  暖はベッドから下りると部屋のカーテンを閉めた。  青い布越しに部屋は薄暗くなる程度で何も隠してはくれなかった。  暖も下着ごと脱ぎ去り全裸になる。膨らみかけた琥珀自身が縮み上がってしまうほど、起立した暖のそれは大きかった。  本当にあんなものが後ろに入るのだろうか。凶暴な、という言葉がピッタリなそれを中心に携えて琥珀にのしかかってくる暖が、琥珀の知らない暖に見えた。 「だ、だん」  暖は琥珀の内ももに舌を這わせながら、ん? とだけ返す。 「な、なんかしゃべって」  暖はそれには答えず、琥珀の中心に向かって舌を進めてくる。 「お願い、暖」  なんだよ、と暖は顔を上げた。 「怖い」  琥珀に向けられた暖の目が、切なそうに愛おしそうに溶ける。  暖はずり上がってくると琥珀を抱きしめた。

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