それはただ単に性器を刺激して快感を得るだけの行為とは全く違っていた。 　暖にとってはその相手が琥珀だからこそなのだ。 　琥珀だから欲しくなる、琥珀だから感じる。 　暖のその目がそう語っていた。 「暖、もっと激しくしていいよ」 　暖は心配そうに何度か瞬きをしたが、結合部を密着させゆするだけだった動きから、ゆっくりと出し入れを始めた。 　内臓ごと引き摺り出されるような感覚に足の指まで力が入る。泣き声が漏れそうになって指を噛んだ。 　後悔はしていない。同じ男だからこそ分かる。暖がどうやったらもっと気持ちよくなるのか。 「暖、もっと好きに動いていいよ」 　暖は眉根を寄せて、本当に？　という顔をした。 「俺なら大丈夫だから、もっと暖に感じて欲しい」 　暖にだったらめちゃくちゃ痛くされてもいい。暖だから、暖にだけは何をされてもいい。 「琥珀」 　暖は琥珀の背中に腕を回し抱きしめると、腰を激しく打ちつけてきた。 　背骨に響くような衝撃に一瞬息が止まる。間をおかず、すぐにまた激しく突き上げられた。 　あっ、と今までで一番大きな声が出た。開いた口に暖は舌を差し込んできた。動かないよう身体を抱かれ、口も塞がれ、全く逃げ場のない状態で暖の熱の塊を何度も何度も打ち込まれる。 　身体が砕ける。バラバラと破片になっていく琥珀の耳元で暖が「琥珀、琥珀」と名前を呼び続ける。 　それでどうにか飛びそうになる意識をここにとどめた。 　荒々しく獰猛な暖のそれは嬉し泣きするかのように琥珀の中で頭をビクビクと震わせた。 　やがて琥珀の中で火を吹く。ドクドクと熱い樹液が琥珀の体内に注ぎ込まれる。 　終わった……？　 　琥珀がうっすらと目を開けようとした時、再び律動が始まった。 　えっ？　えっ？ 　　混乱しながらも、暖のそれが一度弾けた後も全く固さと体積を失っていないことに気づいた。 　暖が腰を引くと、閉まりきれずに開いた穴からトロリと熱い液体が流れ出た。太い頭がそれを琥珀の中へと押し戻す。 　何度もそれを繰り返し、まんべんなく琥珀の内側に白い液体を塗りつけていく。 　ものがものだけにローションの時より音が卑猥に聞こえ、琥珀は耳の縁まで熱くした。 　ひだとひだの間まで塗り込められた暖の液が潤滑油となって、二回目は最初ほど痛みを感じなかった。 　ぬらぬらとした太い塊が出入りする感覚に変化が現れる。暖の頭が奥に当たるとそこに小さな渦が生まれた。 「だ……だん、なんか……変」 　暖は腰を動かしながら、「変って？」と聞いてきた。 「奥が……渦巻いてる」 　ズンと暖は琥珀を突き上げた。咄嗟に口から出た甘い声ははっきりと喘ぎ声だった。 「ここか？」 　暖は再び同じ場所を突いてきた。 　あん、と口から溢れた声が恥ずかしすぎて、速攻追いかけて回収したくなる。 　なのに暖が執拗に同じ場所を責め立ててくるから、鼻にかかった甘ったるい声が止まらない。 「琥珀の声、可愛い」 　これじゃまるで女の子だと頭では抵抗しているのに、暖が琥珀の声を引き出そうと突いてくるから、あんあんと喘がされる。 　輪郭がはっきりしなかった渦が快感という形になってじわじわと広がってくる。 　琥珀の喘ぎ声の微妙な変化を聞き取った暖が耳元で囁く。 「琥珀、気持ちいい？」 　小さく頷くと、口づけけられ、快感の渦を中心に激しく揺さぶられた。 　あっ、あっ、あっ、と切羽詰まったように短く喘ぎ、じっとりと汗に滲んだ暖の背中にしがみついた。