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第38話 神獣の力。
「あ、そうだ。あとさ、母さんは聖獣全部の力が使えるのか?」
「もちろん。それがリリヤにも遺伝したのよ。あと魔力も。半分とは言え、人間には少し重かったかもねぇ」
重いとか言うレベルじゃねぇっ!!
そして俺の遺伝は母さんからのだったから、聖獣の特徴を持たなかったんだ。
「でも、陰ながら見守ってたからそこまでひどいことにはならなかったでしょう?」
その事実も初耳だけども。
「いや、校舎破壊したり、サフィアス公爵家の一部破壊したりしたけど」
「そんなのかわいいもんじゃない」
「そうだぞ、リリヤ」
母さんの言葉に即頷くシュレヴィ。
何だかんだで価値観は合ってるのかこの2人っ!?
「あら、さすがね。うちのリリヤちゃんを任せて正解だったわ」
「えぇ、もちろんです。母上」
シュレヴィ、もう既に母上とか呼んじゃってるし!いや、俺たちは既に結婚しているので、義理の母には違いないのだけど。
「リリヤのことは、唇から股間から聳える先っぽまで、全て愛しています」
いやいやちょちょちょ――――――っ!?
シュレヴィはひとの母親に何つー話してんの!?
唇はともかくシモジモの話いるぅ――――――っ!?
「あらやだっ、ステキねっ!」
母は母で何か頬を赤らめていた。
「私としても、無事にシナリオが終了してよかったわぁ~!ヒロインちゃんもほどよくシナリオぶっ壊してイェレちゃんを幸せにしてくれたしね~」
まぁ、ぶっ壊したと言うか、首輪ハメたりプロレス技キメたりしてたけど。
「てかシナリオってぶっ壊していいの?」
「もちろんよ~!私たちが、塗り替えちゃいけないだけよ!むしろヒロインちゃんや、悪役令息役のリリヤちゃん、魔王、ラスボス枠はシナリオをぶっ壊すの大歓迎っ!」
マジかよ。そして俺も入ってた~っ!
「だから前世の記憶も蘇ったでしょ?あれはその特典のオマケみたいなものなの」
「いや、オマケってねぇ。確かに助かったけども」
特にユッシの原作の知識は俺は持っていなかったから、ユッシがこちら側の味方になってくれたことも含めて。
「それならもうちょっと早く思い出したかった」
ほら、よくあるのは赤ちゃんの時からとか、子どもの時にとかでしょ?
「そんな小さな時から思い出しても、エッチできないじゃない」
「は?」
そりゃぁ確かに18禁ですけどぉっ!?
「リリヤちゃんが一人っきりでシコシコするなんて、悲しすぎるわよ」
いや、確かに一人寂しくはちょっとね!?今はシュレヴィがもれなくついてくるから充実夫夫円満おしゃぶり生活送ってるけどもっ!
「そしてそうなったら、ユッシちゃんも子どものころからイェレちゃんに首輪つけちゃうから、倫理的にちょっと」
まぁ、そりゃぁ子どもの時からSMプレイはどうかと思うけどっ!大人になったからって倫理的にオッケーなのかは微妙なところだけどっ!
いや、そもそもだよ。
「あの、ユッシ。子どもの頃から記憶があったら、イェレミアスに首輪付けたりとか」
しないよね?さすがに。中身地球の記憶がある分年上でも、子どもだぞ?
「もちろんするに決まってるじゃないですか」
あか――――――――んっ!!このコめっちゃ真顔でリード握りながら答えてきたーっ!!
そしてそれはそれで嬉しそうなイェレミアスはどないやねんっ!いや、ある意味お似合い夫夫ぅっ!!
「あれ、じゃぁシェリルの記憶は?」
「あのコは、倫理的に問題ないかなって、子どもの頃に思い出すようにしたの。あと、お兄ちゃんたちとイチャイチャしてほしくて」
「そこ、倫理観は」
「だって私も神さまも、性癖だったんだもんっ!兄×弟のちったい頃からの健全なイチャラブっ!」
めっちゃ私情入ってるぅーっ!過度な干渉はダメじゃなかったんかいっ!
倫理観よりもむしろそのゆるゆる観どうにかした方がいいんじゃないのかなぁっ!?
「魔王も生きてるし、原作と違いすぎ」
「現実なんてそんなものよ。いくつもの偶然が偶然を呼ぶものよ」
何かそこだけ真面目かっ!?いや何か深いっ!母のノリは軽いがそこだけ何か妙に深いっ!!
因みに魔王はシュレヴィにご褒美の珍しい酒をもらっていた。
美味しそうにあおっているその後ろで、ヴァルトがじゅるりと舌なめずりをしたのは、――――――見なかったことにした。
「あと、セラフィーネは、どうして聖女 だったんだ?原作には登場しなかったのに」
「あのコは魂が清かったから聖女になれたの。同じ時代に生まれたのは偶然だったけど」
確かに魂は絶対清いよね。
「でもそれも不思議な縁ね。そして最後は大団円で終われたし」
まぁ、確かに大団円。因みに母さんも酒を持ち寄って見せびらかしていた。ここで飲むのか。いや飲む気まんまんじゃん。男爵は恐縮していたが、シュレヴィがしれっと酒宴用の部屋を用意させていた。
まぁ、彼らは彼らで楽しんでもらえればいいのかなぁ。母さんも楽しそうだし。
「無事に終わって良かったよね、シュレヴィ」
「あぁ、そうだな」
シュレヴィがにこりと微笑む。
「そろそろリリヤの蜜がしゃぶりたくなってきた」
「結局それかい」
まぁそんなこんなで、俺はシュレヴィに寝室に連れ込まれ、今夜も今夜で濃厚な夜を過ごしたことは言うまでもない。
(完)
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