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⑦
「俺は…」
打ちのめされる和樹は、ショックのあまり膝から崩れ落ちる。
半ばレイプされそうになった相手だけど、元恋人だし…なんだか可哀想で。
オレが何か、慰めの言葉でも言おうとすれば…智久さんは、腕に力を込めそれを制してきた。
代わりに、自らが口を開く。
「確かにここは、お前が以前住んでた部屋だし。付き合ってた仲だったかもしれない。…けどな、この場所も雪緒も。今は全部俺のもんなんだ。お前になんざ、何ひとつ渡さねぇよ。」
だからもう、二度と雪緒の前に現れるなと。
苦しいからと切り捨て、楽な方を選び…
結局それもダメになったからって、やっぱりお前が────などと戯れ言を吐く。
智久さんが和樹に厳しいのは、今カレ元カレっていうのもあったと思うけど。
男として、一本筋の通った性格故に。
和樹のそういう優柔不断なところが、許せなかったのかもしれない。
「雪緒…」
「ごめん、和樹。もうお前とは戻れないから…」
オレも十分、和樹を追い詰めちゃったし…。
今更勝手だって、思われるかもだけど…
「智久さんと出会って、オレ幸せだから…」
別れ話もないままに、今までずっと有耶無耶だった分。今が清算の時だと思うから。辛いけど、
「…終わりに、しよう。」
このままじゃ互いに進めないから。
オレも智久さんに、ぎゅっと掴まりながら…
和樹に向けはっきりと、別れを告げたんだ。
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