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第7話 何 言ってるんだ?
「うっ!」
ズキンと突き刺すような頭の痛みで目が覚めた。
最悪の目覚め方だな、風でも引いたか?
ズキズキする頭の右上にそっと手を当てれば、たんこぶが出来てて強烈に痛い。
全然覚えてないけど、どこかにぶつけたのか?………え?
ベ○サイユ宮殿のような部屋に天蓋付きの大きなベッドに寝かされている???なんで?
部屋の隅には、不思議な服を着た男が立派な椅子に腰掛けて船を漕いで寝ている。
誰だよ、コイツ? どう見ても知らないやつだよな?
俺の頭を殴ってこんなところに連れ込んだ変態、もしくは誘拐犯だな
起こさないようにそっとベッドを抜け出そうと布団を捲ると、自分がネグリジェを着せられていることに驚く。
「なんだコレ? あたたたっ!」
自分の声がズキンと頭に響いて痛くて声を上げてしまった。
「「はっ!!」」
俺の声に驚いて男が目を覚まし、バッチリと目が合う。
ヤバイ!
「お、目覚めになられました?!」
目は逸らさずに俺は少し頷くと男は弾かれたように立ち上がり大声を上げながら部屋を出ていった。
「早くラリー殿下にお伝えして下さい。目覚めになられました!」
扉の向こうには沢山の人がいるみたいで外が急に騒がしくなった。
変態じゃなくて誘拐犯の方か、この騒ぎ具合は人数がかなりいるぞ。
いくら俺の家が金持ちだからって高校生を誘拐するなんて頭悪すぎだろ。
この手の犯罪は成功率めちゃくちゃ低い。
身代金貰ったら、いや、身代金請求した後殺される。
逃げ出さない様にこんな恥ずかしい格好 にしているのか。
「痛 つつ…そうはさせるか」
ドアの外が静かになった。
コスプレ男はまだ戻らない、この部屋には俺一人だけ、逃げるなら今だ。
扉に駆け寄ると、急に開いて真っ白な服を着た白髪の老人と数名のコスプレした男達が入ってきた。
「うわあああっ!」
「おお、お目覚めになられている。はじめまして私は医師のダッグ・スコープと申します。体調の方は宜しいですか?」
「えっ、あつっ………頭が痛い」
「おお、それはいけません。ベッドで横になって私にお見せ下さい。失礼いたします。ああ、大きなこぶが出来てます。召喚の際に頭をぶつけられたのですね。大丈夫ですよ。選ばれし12人の中に大魔道士がいらっしゃいます。後でお呼びして治癒魔法をかけていただきましょう」
? 治癒魔法?何言ってんだ?
「いいから頭を冷やすもの、アイス○ンとか氷とかないの?」
医者と名乗る男達は驚いて顔を見合わせている。
「氷ですか?! 私は普通の医師なので氷作成の高等魔法は無理です」
「高等魔法? 冷蔵庫に氷くらいあるだろ?」
「???氷をご所望なんですね。すぐに用意させましょう。誰か氷を作成できる魔道士を連れてくるように!!」
「はいっ!!」
なんだこの芝居がかって変だぞ?
ははーん、わかった。
誘拐犯かと思ったけど、これは素人を騙すドッキリだな。
最近のは凄いな、小道具や大道具がしっかりしていて凝りすぎなくらいだ。
だがここに連れてくるのに俺の頭を殴って気絶させるのはやりすぎだ。
今はカメラが回っているから後でテレビ局に講義しなくちゃな。
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