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第30話 苦い汁
にっ、げぇぇぇぇっっ!!
目が覚めるほど苦い汁をエイプ・フリーレルが口移しで俺に飲ませてる。
「うっ、ごほっ、やめろっ!!うえー、苦い」
「お目覚めになられて良かったです。お顔の色もよろしいですね。すぐに食事とお風呂の用意を致します」
「良くない。変な物飲ませんな」
「滋養強壮薬ですよ。お元気になられたでしょう。すぐにお食事を用意致します」
ここは神子と呼ばれてから使っているいつもの天蓋付きのベッドの上
ベッドに入った記憶がないんだけど………凄く身体が軽くてスッキリしている。
「……元気じゃない…」
「滋養強壮薬を飲んでいただいてたのに、おかしいですね」
「とにかく俺はすげー具合悪いっ!!」
「それは困りました。それでは滋養強壮薬をコップ3杯程飲んでいただきましょう」
「いらーーーんっ!!!」
「お身体のためですよ。元気になりましょう。さあ、お飲みください」
3つのコップに入った変な匂いのする苦い液体を目の前に出された。
「うぐ………っ、元気になったからいらない」
「そうですか、それはよろしゅうございました。では食事と入浴が終わりましたら一昨日 からお休みになっていた予定を消化していきましょう」
「待て待て待て待て!お前、病み上がりの人間に仕事させる気か?」
「………では滋養強壮薬を5杯飲んでいただきましょう」
「なんで2杯増えてんだよっ!! わかったよ。何すれば良いんだよ」
「本日の予定ですが入浴の後、中断した祝福の儀式をしていただきます。平民3名です。あと残りは貴族1名ですが病欠とのことです」
うえっ、男3人とキスかよ。
「その後、シューライ・ショーカ侯爵に討伐のための密契の儀式を授けていただます。その後私が貴方の体を清めます。明日は…」
「………待て、その密契の儀式って男と寝るってことだよな。俺は神子じゃないから、しないって言ってるだろう!!坂井を見つけてヤらせろよ!」
「今探していますが、まだ見つかりませんので神子様、お願いします」
「いやだっ!! お前本当にちゃんと探してるのかよっ!!」
急に部屋のドアが開き明るいブラウンの髪の男が入ってきた。
「うおっ!!神子様、大きな声で驚きました。お元気そうで何よりです」
「ショーカ様………まだ呼んでいませんよ」
「せめて寝顔だけでもと思って見に来たんですよ。まさか起きてらっしゃるとは」
「何だ、お前は?」
「シューライ・ショーカと申します。ご挨拶の時に名乗ったんですが…」
「多すぎて全部の名前なんか覚えられるわけ無いだろう」
「………フリーレル様、神子様可愛くないですね」
「うるさい。余計なお世話だ」
「ショーカ様、神子様はこれから食事と沐浴をされます。呼ぶまで自室でお待ち下さい」
「はーい、神子様、俺のために綺麗になってきて下さいね」
ウインクを寄越してきやがった気持ち悪いチャラ男に枕を投げつけてやった。
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