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第62話 薬 ※
「!!!ぐっ!!」
バンテールはワイングラスを乱暴にワゴンの上に返すと立っていられないのかヨロヨロと壁に凭れ掛かった。
「う、…はあっはあっ………ううっ…」
顔は上気していて玉のような汗がいくつも滴り、乱れた髪が頬に張り付きセプターが色っぽい目で睨みつける。
呼吸も荒く、すぐにでも俺に飛びかかってきそうな感じだ。
これならいける。
神子様を避けるセプターの行動は、おかしいとエイプが身辺調査をしたら好きな男がいることがわかった。
どうもセプターはリーフと使用人のことが好きで、その使用人に操を立てて儀式を拒んでいるとのこと。
男好きのセプターならさぞかし気持ち良く俺を抱いてくれるはずだ。
24時間以上、ペニスが入っていない尻はキュンキュンと期待に疼いてしまう。
薬で我を忘れてめちゃくちゃに抱いてくれるっていうのも……いいかも知れない💗
セプターの身体を想像して舌なめずりをする。
「…はあっはあっ……はあっはあっ…」
欲しくて仕方ないはずなのに苦しそうに肩で息をしていて耐えている事に驚く。
俺の方を見ないのは襲いかからないようにしているのか?
はは💗そんな我慢は必要ないぞ。
セプターを誘惑しろとエイプが目配せをしてくる。
うるさいなわかっている。
「どうしたセプター。一気に飲んだから急に酔ったんだろう」
「…大丈夫です。これ…くらい…なんでも…ありません。………くっ!」
下唇を噛んで血を流しながら耐えている。
「酒に弱いって言ってたからな。身体が辛いんだろう?このベッドで少し休んで良いぞ」
俺の言葉に弾かれたようにベッドとは反対の出口の壁の掴まり伝い歩きする。
「大、丈夫です。それ…では…私は自分の部屋で、休ませて…いただきます」
フラフラしながらも逃げるようにドアの方に向う。
「セプター?!おい、待て」
「失…礼…します」
部屋を出るとバタバタと小走りになった足音とドアの閉まる大きな音でセプターが自室に逃げ込んだみたいだった。
「大した自制心だ。あの量を飲んで自分を律することが出来るなんて凄い精神力です」
「感心している場合か!どうするんだエイプ。アイツ薬が全然効かないじゃないか。このまま儀式も装備もなしに討伐に行けるのか?」
「少しお時間を下さい。薬をもう一度作り直します。バンテール様も薬の影響で明日は動けないでしょうから討伐を数日遅らせましょう」
****
セプターは自分の部屋に入ると着ていた服や装備を全て脱ぎ捨てた。
ベッドまで間に合わずその場に座り込んだ。
下着から出すのも難しいほどいきり立っている自身を大きな手で慰め始める。
身体の中から湧き上がる異常な欲情に手の動きが止まらない。
「フッ、うっ、くっ、んっ、フッ、フゥゥッ!………んっ、うっ、………………!」
周りに気付かれないように静かに気持ちが静まるまで幾度も続けた。
どのくらいしていたのだろう。
自分の撒き散らした白濁が大きな染みとなって絨毯の上を汚していて恐ろしくなった。
「はぁ、はあっ、あの二人に…一服もられた」
薬の効果が切れ、襲ってくる酷い頭痛と全身の倦怠感に耐えながら、身体を起こしてベッドの上に倒れ込んだ。
ここでの食事もそうだが、討伐中の食料は自らの手で調達したもの以外口にしないよう 全て気を付けないと駄目だ………
薬で疲弊していた身体はベッドの柔らかさに包まれると、そのまま泥のように眠った。
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