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第64話 火属性の魔物討伐 2日 一人で討伐

後悔するかと思ったらセプターの奴、自信満々に頷きやがった。 くそ、尻がうずく。 コイツが大人しく俺を抱けばこんなに苦労しなくてもすむのに! 出立前あれだけエイプに抱かれたのに、もうセプターが欲しくて仕方ない。 頑なに俺を拒否するなら、エイプの考えた作戦どおり、痛い目にあえば懲りるだろうと一人で討伐させるように上手くしむけられて良かった。 当然、この作戦は討伐前にフェリスとも打ち合わせ済み、明日の討伐がどうなるか楽しみだ。 翌日 このエリアは昨日より強い魔物がいる。 昨日魔物を討伐して経験値が上がっているので、全員神子の加護を受けている勇者ならば楽勝で勝てる。 だが、戦うのは神子の加護を受けてないセプター一人。 「わかっているな?セプター以外の勇者は手出しするなよ」 ガストーが青い顔してセプターの元に駆けつけようとするのを皆で押さえつけた。 「放せ、俺も一緒に行く!」 「大丈夫だ。ガストー、行ってくる」 「やめろ、セプター!神子様頼む。セプターを許してくれ」 へえ、友達思いの良いやつだなお前は、必死にアイツの命乞いするなんて… 俺の友達は魔法陣に飲み込まれるのを誰一人として助けに来なかったぜ。 ………死んだ坂井以外は… 「………セプターが一人で片付けると言ったんだ。どこまでやれるか見てやろうじゃないか」 「無理に決まっているだろう!セプターを殺す気か!アイツ死んじまう!」 ガストーは足元に雲を作って飛び立とうとするも、フェリスがガストーの足首ごと雲を氷に変えた。 氷は飛べず、そのまま落下したガストーは地面に転がる。 「オークト様!!」 「助けては駄目です」 「お願いします。オークト様、魔法をといてください」 「もし本当に危なくなったらお助けします」 「オークト様!」 首を横に振って俺の後ろにフェリスは控えた。 魔力はフェリスの方が上、氷を外すことも溶かすことも出来ず俺の足元でセプターの戦いを見るしかなかった。  「セプター!戻って来い、セプターーーーー!!」 *** 満身創痍ボロボロのセプターが魔物の死骸を踏みしめながらこちらに向って歩いてくる。 「ふん、時間はかかったが、一人で倒したな」 「…ええ、凄いです。神子様のお力無しに一人でこの大群を討伐するとは…」 ガストーを拘束していた氷を外してやると、急いでセプターの元へと飛んでいく。 ははは、めちゃくちゃ必死じゃないか。 親友じゃなくてまるで恋人のようだな。 「セプター!大丈夫か?!」 「…大丈夫だ…ほら、俺一人で片付けられただ…ろ…う…」 よろけて膝をつくセプターの左腕は皮一枚でつながっているだけで千切れかけていた。 「セプター!」 ガストーはセプターを抱きかかえて戻ってくると泣き叫ぶような声で懇願する。 「オークト様、治癒魔法をお願いします」 「………フェリス、わかっているな」 「は、はい、み、神子様。サ、サオマ様、つ、次の魔物のエリアにも近いので一旦退却しましょう。あ、安全な場所まで後退して医療用テントで治療します」  

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