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第65話 火属性の魔物討伐 2日 全部飲め
はじめに召喚された場所まで戻り、急いで治療用のテントを設営した。
運び込まれたセプターを一人で治療していたはずのフェリスが中から飛び出して来た。
「どうしたんですかオークト様」
「こ、困った事になりました。バ、バンテール様は怪我よりも特殊な魔物の毒でとても危険な状態です。て、手持ちの解毒剤を全て使いましたがそれでも足りません。」
「じゃあ、セプターは助からないんですか?!」
ガストーが凄い勢いでフェリスに詰め寄る。
「こ、この薬草があれば助かります。と、取ってきていただけますか?」
フェリスは薬草を書いたメモをガストーとアリージャに渡す。
「「わかりました」」
「お、多ければ多い程、助かります」
「すぐに取って来ます。セプターの事、宜しくお願いします」
「お任せ下さい」
二人が見えなくなるまで俺達は手を振った。
「フェリス、準備は良いな?」
「はい、こちらをバンテール様に飲ませて下さい。原液ですのでどんなに魔法耐性がある方でも、すぐに神子様の虜になることでしょう」
ピンクの魔法陣が書いてある小瓶を手にセプターのいるテントの中に入った。
奥のベッドで横になっているセプターの顔色は良くない。
「凄かったじゃないかセプター、一人で討伐するなんて驚いたぞ」
「有難うございます。神子様…オークト様。腕の治療の続きをお願いします」
「その前に褒美だ。お前に俺をやろう」
「! いりません。ご遠慮いたします。治療を…」
「でもな、治療しても、あのエリアで こんなに大怪我しているようでは駄目だ。次はもっと強い魔物なんだ。今のままのお前では戦うのは無理だろう」
「大丈夫です。次も出来ます」
「絶対に無理、出来るわけない。加護が必要だと自分でもわかっているはずだ」
薬瓶を取り出すと血が足りなくてフラフラしながらも逃げようとする。
気力も体力も底をつき、片腕もないんだから逃げられるわけないだろうに。
この小さな薬瓶中には『惚れ薬(改良済み)』の原液が入っている。
フェリスに足を抑えさせて、俺は薬を飲まそうとするがセプターに抵抗されて瓶を口まで持っていく事が出来ない。
瓶の中身も半分ぐらい溢れてしまい、これ以上は減らせない。それなら…
薬瓶の中身を全て俺は自分の口に含んだ。
驚いたセプターの鼻を摘んで口を開けさせ口移しするが吐き出そうとする。
「うっ、ううっふっ、ううっふんんんんっうぐっごはっぐっ」
セプターの顔を掴んで押さえつけて飲ませている俺には飲み込んだかどうかわからず、いつまでもキスしているとフェリスが
「み、神子様、飲み込みました。暴れなくなりました」
俺は口の中に残っている薬を唾と共に床に吐いた。
「はあっはあっ、そうか半分しか飲ませられなかったがとりあえずはこれで良いだろう。フェリス、セプターの治療をしろ」
「はい。スペシャルヒール!!」
身体がみるみる綺麗に完治していく。
千切れた腕も綺麗に繋がる。
「フェリス、薬だ、同じものをもう一本寄越せ」
「げ、原液を飲んだので大丈夫です」
「コイツは普通と違って薬が効きにくいんだ。! おい、薬はないのか?」
「あ、ありません。げ、幻視薬ならございます」
「幻視薬?何だそれは?エイプが持たせたのか?」
「はい、フリーレル様より討伐中に この幻視薬を…」
「説明はいい、早くそいつを寄越せ!」
「はい、こちらです。神子様、飲ませた後、瓶に付いている魔方陣をバンテール様に必ず見せて下さい」
「これを見せるんだな。わかった。ほら飲めセプター………うっ………」
くそっ、頭がクラクラ、ふわふわする。
胸が動悸がする。
口移しで飲ませたから俺にも惚れ薬の影響が?……まずい。
「………フェリス出て行け!朝までここに誰も近づけるな!」
「は、はい」
フェリスは逃げるようにテントを出て行った。
「ほら、口開けろ、気持ちよくなる薬だ。全部飲めよ」
「う…いら…ない…」
「チッ」
俺はまた幻視薬を全て口に含むと 口移しでセプターに全部飲みこませた。
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