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おまけ
「イイよ。一緒に暮らそうか?」
そう燐に答えると燐は「本当に?」と言う顔で俺を覗き込んで来た。
なんだろう?
この愛らしさは?
そう思ってそっと燐の頬に手を添えると燐はプルっと震えた。
そして、その後に呟くように燐が小さな溜め息を漏らした。
「どうしたの?」
沈んだ燐の顔が気になって、そう聞いた俺が悪かった。
何故って、そりゃ冒頭の俺の言葉を思い出したら解ることだと思う。
『どうして、こうなってしまったのかは俺の方が一番知りたい』
そう、どうして、こうなってしまったのかは俺の方が一番知りたい。
だが、燐は愛くるしい顔でもじもじと俺に擦り寄って来て、
「あのさ、一つだけ問題があるんだ」
そう言うのだ。
馬鹿な俺は「何?」と安請け合いの下請け業者のように、容易にそう訊くのである。
「稜ちゃんのアパートってさ、確か2LDKでしょう?」
「うん、そうだね。一人暮らしなのに、凄く贅沢させて貰っていると思うよ」
「ああ、その、一人暮らしならそうだと思うんだけど、コレからは俺も一緒に暮らすことになったでしょう?」
「そうだね。燐と二人で暮らしてもそう問題がない広さだとは思うけど?」
俺がそう答えると、燐が申し訳なさそうな顔で俺の顔から視線を外して、
「ええっと、稜ちゃんには悪いと思ったんだけども、もう既に俺の荷物を稜ちゃんのアパートに運んだんだ……」
そしたらさ、思った以上に俺の荷物が多かったようで、稜ちゃんの部屋が………と言うか、稜ちゃんの部屋自体がなくなったと言うか、否、ソレはお互い様だと思うけど、えっと、その俺と同じベッドで寝ることになったんだけど、稜ちゃんはソレで我慢出来ると聞いて来た。
俺としては、もう少しナイーブなことを言われるんだと思ったから、
「なんだ、そんなこと?大丈夫だよ」
そう単純に答えたことをこの後、凄く後悔するのであった。
話が長くなるから中略をするが、昼食を食べて俺のアパートに戻った俺が、俺の部屋を目にして強張ったのは言うまでもないだろう。
どこのスーパーコンピューターですかと言う大きなパソコンに唖然としたのではなく、その横に置かれた燐のベッドに言葉が出なかった。
「燐くん、コレで本当に寝るの?」
「………やっぱり、稜ちゃんもダメなタチ?」
そう言うが、俺としては始めて見るモノでそう簡単に理解出来るモノではない。
「ダメ………ではないとは思うけど、俺、こう言うの始めて見たからなんとも………」
「そうだよね。キングサイズのウォーターベッドって、見たことないよね。運搬業者さんも同じこと言っていたからさ」
でも、稜ちゃんのベッドだと二人で寝るのは辛いんだよねと言う燐に俺も同意したが、コレが燐の最終警告だったとは言えない。
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さて、その夜、
「………………ね、寝返りが打てない……って、言うか、身体にフィットし過ぎて燐に手出し出来ないじゃんっ!!」
そう叫ぶ俺を余所にすやすやと眠る燐の顔がホント、可愛らしかったと言って置こう。
END
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