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最終話

  さて、話は少々巻き戻るが、仮想空間に閉じ込められた俺と燐はその後無事に回収されていた。 と言っても、現実世界の時間で言ったら数分間の出来事だったらしく、システムは直ぐに復旧していたようなのだ。 ソレなのに、あのような事態に陥ったのは仮想空間と現実世界に予め時間の誤差を大きく生じさせているためである。 要は、体感時間が異なるために仮想空間側の人間にはゲーム内に数時間閉じ込められたと言う認識が埋め込まれてしまったのこと。 そんな大パニックの中、ゲームの王さまである燐は直ぐにソレに気がついて、呑気にゲームを堪能しようじゃないか?と俺に提案して来たわけである。 だが、実際はゲームを堪能はしておらず、青姦よろしく俺にアンアンと啼かせ捲られていたわけだが、その最中にシステムが正常に起動しちまったから、アラ大変と言うわけ。 燐に猥褻行為中の俺は、そのシステムに引っ掛かって即強制退場。 相方の燐はと言うと、強制退場させられる前に自らログアウトをしたらしいのだ。 流石は、ゲームの王さま、逃げ足も天下一品と言うところでしょうか? で、強制退場させられた俺はと言うと、そのゲーム会社から即、出入り禁止を言い渡されたのである。 しかも、未成年と言うことで両親を呼び出されていまい、ま、警察沙汰までにはならなかったがその呼び出された両親にはこっぴどく叱られたのであった。 「稜ちゃん、ゴメンね」 一人でさっさと逃げちゃってと燐がそう言って深々と俺に謝るのは、燐には全くおとがめがなかったからだろう。 だから、俺が燐に向かって枕や布団を投げつけても怒るに怒れなかったらしい。 そう言うところは素直で可愛いよなと俺はへらへらとした顔で、「ん?怒ってないよ」と言って俺は燐を手招きする。 ソレから、燐がしてくれたようにイイ子イイ子と燐の頭を撫でて、こうも言う。 「まあ、出入り禁止は痛いけど、その代わり燐が手に入ったわけだし」 と。 「稜ちゃん、ありがとう♪」 許してくれてと俺に抱き付く燐には散々両親に絞られたことは黙って置こうと思った。 この年で恥ずかしいもあるが、また気落ちされても困るから。 「んじゃ、コレから何する?」 今日が夏休み最終日と言うことで、俺は燐にそう訊く。 お隣のお兄ちゃんも長期休暇中だけで、修学中からは一人暮らしをしているアパートに戻らなくてはならないから。 とは言え、燐が決め兼ねることは百も承知であるから、選択肢でも与えようかと思った矢先燐が寸なりと決めてしまった。 「稜ちゃんのアパートにいく」 「え?俺ん家?」 燐が答えたこともビックリしたが、俺のアパートがイイって言うことにもビックリした。 「………ダメ?」 「否、イイけど?何で俺ん家?」 遊園地やプールの方がデートしているって気がしない?と不思議がると、燐が急にそわそわと目を泳がせ始めた。 うえ?俺なんか不味いこと言った? 慌てて、「燐がそうしたいって言うなら全く問題ないよ?」と言い直す。 そしたら、燐がいきなり顔と耳を真っ赤に染めた。 ああ、ヤバ。 地雷踏んだと咄嗟に身構えると燐が、「俺、稜ちゃんのアパートで一緒に暮らしてイイ?」と噛みついて来た。 そんな俺は「稜ちゃんのエッチ」と殴られる覚悟をしているから、驚いて呆ける。 「え?」 今日何度目か解らない驚きに見舞われている俺は、 「だから、俺、稜ちゃんと離れたくないから一緒に居たいのっ!!」 そう燐に怒鳴られて、漸くハッと息を吹き返すのだった。 「ど、ど、同棲するってこと?」 「ど、ど、ど、同棲って言わないで、稜ちゃんのエッチっ!!シェアだよ、シェア!!」 家賃を分割にするから、ルームシェアだと言い張る燐だが、恋人同士で同じ屋根の下で暮らせば同棲だと思った。 「もう両親にも許可貰ったから、後は稜ちゃんの返事だけなのっ!!」 そう怒って、燐はニヤニヤする俺に枕をぶつけて来た。 相当、恥ずかしいんだろうと思ったけど、燐から離れたくないとか言われると心の内がウズウズしてしまっていた。  

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