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第7話

  ───────ピピピピピピピピッ!! 「………き、……かき、……稜稀っ!!」 起きなさいっ!!とけたたましい目覚ましの音と母親の声で、俺は目覚めたくもない現実の世界に引き戻される。 が、俺は目の愛くるしい燐の唇から遠退いていくのが嫌で必死に夢の世界に喰らいついた。 しかしながら、母親の痛恨の一撃(拳骨)でソレは儚く破り捨てられてしまうのであるが。 「─────って!!何、する!!」 このクソババァ!!と布団と枕を勢いよく投げつけて振り返ったら、ソコにはニコニコ顔の燐の姿があった。 え?何で?と慌てて、投げつけた布団と枕を拾って床に正座をすると、燐はイイ子イイ子と俺の頭を撫でて、なぜか頗るご機嫌だった。 コレまでの経験上、こう言う態度を取った後は頗る不機嫌で、燐のご機嫌を取るのに一苦労していたのだ。 と言うことはコレはまだ夢の中で、そして、あの続きなのかも知れない。 そう思う俺だが、燐の隣にいる母親に耳を掴まれて引っ張られているこの痛みは紛れもなく現実で、俺は頭の打ちどころが悪かったのか?と 首を傾げて燐の顔を横目でちらりと見て様子を伺うのだが、頗るご満悦な燐は至って平常運転であった。 「ハア、漸く稜稀も起きたようだから、燐ちゃん、ゆっくりしていってね♪」 母親はそう言うと俺の掴んでいた耳を離してにひにひと卑しい目で俺と燐を一瞥すると、俺の部屋から出ていった。 静まり返った部屋で落ち着かない俺は、兎に角何かを話さないと口を開いた。 口を開いたのはイイが、「ええと、燐さん、お早うございます」とよそよそしい。 「今日は何用で御座るか?」 そう言う俺に、「うん♪おはよう♪稜ちゃん♪ええっと、用はないんだけど稜ちゃんの顔を見に来たの♪」と更にご満悦な笑顔をこの俺に見せて来る。 「左様で御座るか?」 そう答える俺だが、「なんだろう、このご機嫌のよさは?」と少しばかり燐のご機嫌に不信感を覚えた。 「うん♪」 燐はそう言うと、俺が正座を崩さないことをイイことに、俺の膝に向かい合って座る。 何?何? この如何にもって言うシチュエーションは?何かのどっきりなの? そう言う目で燐を見れば、燐は「稜ちゃん、好き♪」と俺に抱きついて来る。 「………え?ちょ、………今のは?」 きょとんとした顔で俺がそう訊くと、燐は当然だと言う顔で、「ん?だって、俺は稜ちゃんのモノなんでしょう?」そう言う。 だから、更に鳩が豆鉄砲を喰らった顔で「………え?」と驚いていたら、 「稜ちゃん、忘れちゃったの?『燐、俺はお前のことが好きだよ。誰がなんと言っても、燐が好き。燐のことが好き過ぎて、誰にも渡したくないんだ。だから、俺のモノになって、燐。俺だけのモノに』って、言ったじゃん?」 燐は悲しそうな顔でそう言って来た。 俺は慌てて、「え?ソレ、夢じゃ……」そう言うと、 「じゃないよ!!」 燐は怒った顔で俺の両頬を思いっきりつねって来た。 「………痛い痛い」 離してと燐の両手首を掴むと、燐は「思い出した?」と言う感じで首を傾げて来る。 「思い出した思い出した。思い出したから、つねるのは止めて~」 そう訴える俺を燐は満足そうな顔で覗き込んで来ると、チュッとリップ音を鳴らしてリトルキスをして来たから、 「ひょええええええっ!!」 俺はそんな変な奇声を上げて背中から諸に床にぶっ倒れてしまった。 『ゴッチン』と凄い音がして、俺が仰向けに倒れるから燐はビックリして、慌てて俺の上から飛び退く。 「稜ちゃん、大丈夫?」 「ああ、うん………、大丈夫………、ビックリしただけだから………」 燐からキスをして来たことがないから、免疫がなかったと言うか、嬉しさの余り変な奇声を上げたなんて言えない。 そして、そんな俺は「燐、もっとしようか?」なんて言って、エロス剥き出しで燐の身体を引き寄せたのは言うまでもないだろう。  

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