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第6話
「………あのさ………」
「うん」
俺がそう言って燐を見れば、燐は「何?」と言う顔で俺を見て頷く。
そして、俺が発する言葉をじっと俺を見つめた儘待っていた。
「…………ええと、その……」
「うん」
歯切れ悪くあのそのしか言えない俺の言葉をキラキラした瞳で受け止めて、燐はまた俺の姿をじっと見据える。
「………とても言い難いんだけどさ………」
「うん」
そう頷く燐の唇がまた小さく開く。
ああ、コレは絶対にそうだ。
そう思っても、俺の馬鹿チンの理性様はその罠に自ら飛び込む。
ゆっくりと燐を押し倒して、高まっている俺のモノを捩じ込んでいた。
ダメだろう、俺っ!!
そう思っても燐の中に入ればもう本能バリバリよの腰つきで、燐を攻め立てている。
盛った雄はそう簡単には収まりを見せれないのが、男の貞。
一時間前にお前は何をしていたと言っても、さあ?何のことでしょう?と惚ける我が息子が憎たらしい。
「………やんんっ、稜ちゃん………」
燐も燐でゆっくりと腰を浮かして、ヒクヒクとヒクついている内壁に俺のモノが突き当たれば艶やかにそう喘ぐ。
燐くん、「稜ちゃんの絶倫っ!!」と叫んでいたのは俺の空耳だったのでしょうか?
そうツッコミたいのは山々だが、堪らないと海老反りになる燐の姿を見たらそんなことどうでもよくなる。
俺は燐の腰を引き付けて、ゆるゆると腰を突き動かした。
案の定、燐は余りの気持ちよさに身体を捩って悶えている。
快楽に弱いと言うか、全てが性感帯の燐の身体は何をされても気持ちがイイようである。
「………あっ、………や、………んんっ、………ソコやら………」
そう燐に懇願されて角度を変えれば、更にのたうち廻るように大きく首を振る。
「………ソコも、やら………っ!!」
と。
俺は俺で、そんな燐の甲高い声にゾクゾクしていた。
だから、
「ゴメン、燐、止めようか?」
僅かに残っている理性でそう言うが、俺の腰はリズミカルに旋律を奏でている。
馬鹿犬で申し訳ないと燐を見れば、俺の腰に違和感があった。
え?と下半身に視線を落として唖然となるのは燐の両足が絡まっていたから。
この腰に巻き付けて来ている両足はなんでしょうか?
しかも、腰まで振って。
とは言え、そんな燐のあべこべに俺の息子が更に元気にならないハズがない。
更に、「キスもして」と小さな舌をちょろりと出して来たら、「はい、如何様にでも」と燐の舌と口内をでろでろと貪っちゃうよ?
「………や、………稜ちゃん、………もっと……」
そう煽られてがっつくのは、燐ではなく俺の方である。
ああ、ホント、なんなの?
攻めてるハズなのに攻められているって。
ソレに、この行為に入る前の形勢は五分と五分で半々だったハズ。
どっちがって言うよりもお互いに欲したと言う感じで始まったのに、何で主導権を最初から最後まで燐に握られてんの?
ああしてこうしてと燐にごねられて俺が紳士的に頂く予定だったのに、コレじゃ、盛った馬鹿犬で終了じゃんっ!!
そんな戯言を考えていたら燐が俺の髪の毛を掴んで、
「…………稜ちゃん、………らめっ、………俺だけを見て………」
そう言うと俺の視線を上に向けさせた。
コレは誰のモノ?
そんな感じで燐が俺の唇を噛み付くように塞いで来た。
嫉妬に絡んだ目は俺以上におっかない。
寝た子を起こしたと言うソレは俺の立場も自尊心もあっさりと持っていく。
「………ああ、そうだね、燐。コレも、ソレも全部燐のモノだよ」
心臓と身体を示して、俺は燐にそう言う。
否、そう言わずにはいられなかった。
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