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【エピローグ】愛に誓う王国

 その後、ルファはヴェルディスと共に、アルフ=スーレイメル元公爵領地の城に引っ越す事とした。国王は随分と寂しがったが、新婚である二人を苦笑しながら送り出した。  桟橋を馬車で渡り、湖を抜けた先に、塔がある城が立っている。エジスティア城という名の美しい城に、初めて足を踏み入れたルファは、豪奢なシャンデリアを見て、微笑した。少しずつ、貴族的な生活にも慣れてきた。それはそばにヴェルディスがいてくれるからというのも大きいだろう。  城での初の晩餐を終えてから、ルファとヴェルディスは、二人の寝室へと向かった。巨大な寝台には、枕が二つある。寝台脇の燭台に、ヴェルディスが火を点す。巨大な窓からは、青白い月が覗いている。  ルファの夜着を脱がせたヴェルディスは、己のガウンも脱ぐと、正面からルファを抱きしめて、上に乗せた。下から貫きながら、口角を持ち上げる。ヴェルディスの茶色い瞳には、どこか獰猛な色が宿っている。  一方のルファは壮絶な艶を放っていた。白い肌を上気させているルファの細い腰を、ヴェルディスが掴んでいる。対面する形で座りながら貫き、ヴェルディスは時折体を揺らす。ヴェルディスに抱きついているルファは、快楽から涙を零しながら、喉を震わせた。 「ぁ……ああ……ァ、ア」  皮膚の内側を、鳥の羽が蠢くように、快楽の漣が広がっていく。達してしまいたくなって、ルファの腰が揺れた。すると見計らうかのように、下からヴェルディスが突き上げる。 「あ、あ、あ」  毎夜ヴェルディスに開かれてきたルファの体が、じっとりと汗ばんでいる。 「ヴェル、動いて……ぁ……ああ、あ……」  凄艶なルファの姿に、ヴェルディスが一度息を詰めてから、緩慢に突き上げ始める。既に一度放っているヴェルディスは、余裕はたっぷりあったが、情欲は止まらない。ヴェルディスの膨張した剛直を、ルファが締め上げる。収縮する内壁が、ヴェルディスの肉茎に絡みついているようだった。 「あ、ああ……っ、ッ!」  そのまま緩やかに貫かれ、ルファは果てた。白液がヴェルディスの腹部にかかる。穏やかな交わりで、結合部分からは白液が垂れている。ルファは達したもののまだ体が熱く、ギュッとヴェルディスに抱きついて涙を零す。全然足りない。もっとヴェルディスが欲しい。そう考えながら、目を伏せた。ヴェルディスが、ルファに口付ける。口腔を貪りながら、ヴェルディスは幸せに浸っていた。ルファもまた、ヴェルディスの唇を求めた。 「あ、ン……は、ッ……」 「愛している、ルファ」  二人きりの時は、ヴェルディスはルファに敬称を完全に付けなくなった。その変化が、ルファには嬉しい。ルファの後頭部を撫でながら、何度もヴェルディスがキスをする。繋がったままだ。ドクンとヴェルディスの陰茎が脈動し、ルファの中で存在感を増す。 「僕も、愛してる」  そう告げた時、ルファはいつか自分が呟いた言葉を思い出した。  ――愛に誓う王国。  召喚獣との契約だとはいえ、こうして愛が生まれた事は、あるいは運命であるとルファは感じる。そして運命に感謝している。ヴェルディスと出会えたその事に。 「あ、ああ、あ、あ、あ」  ヴェルディスが一際強く打ち付けて、二度目の吐精をした。再び白液がたらりと溢れる。しかしヴェルディスは硬度を保ったままだ。スローな交わりの中で、二人の体はずっと熱を孕んでいる。 「ルファ。何度告げても言い足りない。愛している。どうしてこんなに好きになってしまったんだろうな。ルファが愛おしくて仕方が無いんだ」 「僕も、ヴェルが大好き……っ、ああ! あ……あああ!」  ルファの言葉にヴェルディスが笑顔を浮かべて瞬きをした。そしてそのままルファを正面に押し倒す。内部で陰茎の角度が変わり、ルファが喘いだ。露骨にヴェルディスの陰茎の形を感じて、ルファは熱い息を吐く。  ヴェルディスが今度は激しい抽挿を始める。何度も打ち付けられる内、快楽からルファはむせび泣いた。ドロドロに体が蕩けてしまいそうな感覚に、全身を絡め取られる。 「あ、ああああ! あ――っ、あ、ア、ぁ!」  その夜も、二人はずっと交わっていたのだった。  以後、ずっとルファのそばに、ヴェルディスは共にいた。そしてルファもまた、ヴェルディスと共に在った。召喚獣が見守る中、二人は愛を育んでいく。その後、スーレイメル王国の御伽噺には、ルファとヴェルディスの出会いの物語も記録されるようになるのだが、それはまた別のお話だ。二人は末永く幸せに暮らしたのだった。 ―― 終 ――

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