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第29話

【Side:たとい】 ――――――事件は、起きた。 「いやあぁぁぁぁ――――――――っ!ハクトぉっ!助けてくださあぁぁいっ!」 「うご……っ!?」 ハクトくんと歩いていれば、突然トゥキさんが突っ込んできて……ハクトくんに抱きついた!?ヘタレ攻め萌え……っ!!じゃぁなかった! 「トゥキさん……?一体どうして……」 「うぅ……聞いてください……っ!陛下が……っ、陛下がぁぁっ!」 「お父さまに何か……?」 「あの最強目からビームが?やべぇじゃん」 ドテッ。てか目からビーム……やっぱり目からビームは出るってことで確定なのかな……?あと口から火も……いや、陛下どんだけ!?それにそう言う場合でもないのだ。 「陛下が強引に酒宴に誘ってくるんですアルハラだぁ――――――――っ!!」 あぁ……例の……っ!? 「何かすげー人だとは思うんだけど……アルハラだけはどうかと思うがトゥキなら酒乱だからへーきだろ!」 「そう言う問題じゃありませんよ~~っ!」 「そ……そうだね……!?アルハラはいけないよね!?」 てかいい加減アルハラはやめてもらえないだろうか!?シュイまでノリノリになるし……あとはお母さまを頼るくらいしか……。 「トゥキさんはお酒が……」 やっぱり苦手なのだろうか。……酒乱だけど。 「……しゅき」 好きなんか――――――いっ! 「でも……陛下は恐ろしいんです……酒入ると容赦なく竜の本性さらしてくるから……!」 あ、あぁー……、獣人には恐ろしく映るものなんだっけ。 「でも、それなら普段の飲み会はどうするの?」 忘年会やら年始の祝賀などもあるじゃないか。さすがにその席で竜の姿は……見たことないけど。 「陛下はそうなるので、お酒禁止なんです。あとで王妃さまにお酌してもらう特典つきで、お酒禁止令出てるんです」 どてっ。 でもちゃんと後で埋め合わせのようにお母さまからのサービスがあるんだ。 「だけど……」 「たとい?」 「たといくん?」 「どうしてみなさんとは……」 シュイもお父さまとはよく飲んでるようだし。もちろん父子の話題は……番とのエッチの話だ。飲んだ後シュイが嬉々として語ってくるので知ってる。 いやほんとこの父子、飲みながら何語り合ってるの全くぅっ!! 「普通の獣人よりは耐性あるからと……後、絡み酒が好きなんですよ、あの方」 いや、それめちゃくちゃ面倒な酔っぱらい~~っ! 「とにかく、お母さまに相談してみよう……?」 「あう……っ、えっぐ……。たといくん天使?天使なのこれ」 「……いや、この前ちびたちを天使って呼んではしゃいでたぞ」 いやまぁ、ちびちゃんずは天使だよ。まごうことなき天使。ふわふわっ子もわふわふっ子も竜っ子もみんなかっわよ~~~っ!! 「では大天使で!」 「何か進化した……!?」 ――――――――まぁ、何はともあれ、お母さまに相談してみたところ。 「あら、じゃぁ番たちも参加しましょう?きっと楽しくなるわ!あぁ、もちろん、たといちゃんとハクトくんは、地球の国では……まだ飲めないのよね。大丈夫、ジュースも出してもらえるわ……!」 ……と、何故か俺たちも参加することになってしまったんだが……っ!? ※※※ 「おっしゃぁ――――――――っ!おめぇら今日は飲むぞおぉぉぉ――――――――っ!」 既に開始直後からテンション爆上がりらしいお父さまは、竜のしっぽと翼を惜しみなく出していた。 『おおぉぉぉ――――――――っ!』 お父さまの竜チートに動じてないシュイとお母さまは……いいとして。 ランさんとセレナさんまで雄叫び上げてるし……っ!! ランさんは人狼でセレナさんは竜人だけれど、それはそれで竜宮出身だからお父さまのチートは効いてない……まぁ本気だとさすがに2人でも身震いするらしいが……。この酒宴の場合は平気らしい。そう言えばお母さまが言っていたっけ……。 番は度胸、受け男子は度胸、ベッドの上ではドエチチ……!最後のはよく分からないが、お父さまの竜チートに意気消沈しているトゥキさん、グイさん……。まぁ、ロウさんはいつも通りのクールさだが。 受け男子……やっぱり強……。 俺も将来あんな受け男子になりたいなと思った。……うん。 みんな酒瓶やらジョッキを掲げているのだが……俺はハクトくんと一緒にジュースである。お酒……飲めるようになったら飲んでみたいけど……その時はその時でシュイにお願いしてみようかな……? あ、因みにちびちゃんたちは……侍従たちが別室でみていてくれているので、今日は受けままたちも存分に飲むらしい。 ここに来る途中にこども部屋を覗いてきたけど……みんなわちゃわちゃでかわいかった。 みんなのふわふわをもふりまくれるヒナちゃんめっちゃうらやましい俺やっぱこども部屋に……と思ったのだがシュイが訴えるようなめでじーっと見つめてきたので……こちらにくることに。まぁジュース組をハクトくんをひとりにはできないし。 そうして美味しいおつまもと一緒にみんなで楽しくお話……してたのだが。 「おい……トゥキ……おめぇ……兎族は多産だろぉが」 いきなりお父さま、どうしたの!?トゥキさんに絡みに行ったし~~!!? トゥキさんなんて『ひぃ~~っ!?』ってなってるよお父さまの竜チートで……! 「お、お母さま……っ」 「そうねぇ……私も早くかわいいちびちゃんウサちゃんが見たいわ……!」 チガウ、そうじゃないそっちじゃない!そりゃぁ俺もちびちゃんウサちゃん見たいけど……っ! ――――――――産むの、ハクトくんだからぁっ!一瞬ハクトくんと目があって気まずい感じになっちゃったじゃんんんんっ!!! 「おらぁ……っ!ゼフラもこう言ってんだ……なぁ……?」 その『なぁ……?』の意味がよく分からないぃぃっ!!そしてトゥキさん、おもむろにぐいっと一杯飲み干した……!?えと、何がどうなって……っ。 「私だって……私だって子作りしたいぃぃぃっ!!!」 「えっ!?は……っ!?」 いきなり何ぶっちゃけてんのトゥキさんんんっ!ハクトくんも思わず目を見開いてるうぅぅっ!! 「でも……その……激しくても……いい……?」 トゥキさんが途端に、オトナな表情でハクトくんを見つめる。 「いや……まぁ……別に俺ぁ……お前なら」 「でも……ちゃんと優しくします。翌朝腰が立たないくらいには」 あぁ――――――――んっ!何この尊い夫夫~~っ!いや、待って。腰が立たない程度は優しくになるのか……!? トゥキさんとハクトくんがいい雰囲気になったところで……。 「おい、ロウ……すました顔で飲んでんなよ」 「……」 今度はロウさんに絡み出したお父さま……! 「おめぇだって……嫁とのあれやこれやあんだろうがもふダリ気取りやがってえぇぇっ」 いや……ロウさんはまごうことなきもふダリなのだが……。 「そんなことはない」 ロウさん冷静に返す……!さすがはわふわふでクールが売りのもふダリである! 「あ……でも、強いて言えば……」 と、ここでランさんが。 「……ある、のか……っ!?」 その時、ロウさんの珍しい驚いた顔を激写した……!あ、あれはレアショットおぉぉっ!しかしながら……完璧なるもふダリのロウさんに……何が……!? 「満月の時に俺のもふしっぽ、子どもたちと取り合わないでよ。んもぅ……」 どった――――――んっ!やはりもふダリとしては、番のもふしっぽは譲れないのだろうか……。 「……いや、だが」 そこで躊躇うロウさん。普段は中々見られないそのロウさんレア~~っ! 「しっぽなら……子どもたちが寝た後に好きなだけ、もふっていいから……」 「……ラン」 ひゃーっ!そして見つめ合う2人……尊すぎるうぅぅ……。あれ、でもお父さまはどこに……。 「うおらぁ、グイいぃぃっ!」 「ギャ――――――――――っ!」 あ、新たな被害者が……。 「ほんとねぇ、私も……どうかと思うんでぇっ!おいコラァっ!」 そしてセレナさんちょ……性格変わってない!?何かすっごく喧嘩節なんだけどそれ何――――――っ!? 「いや、その……セレナ……?」 残念ツンデレ攻めグイさん、たじたじ。 「俺の料理が食えねぇってどういうことじゃわれぇっ!」 「だ……だって……げ……き、辛……っ」 辛いの!?激辛!?普段は甘いお菓子も普通に食べているが……。あ、お酒もめっちゃお代わりしてる――――――っ!実は隠れ辛党!? 「てめぇ、番の料理が食えねぇってぇのか!ヘタレがぁっ!」 お父さまもノリノリ! 「いっちょぉ、食えやぁっ!」 セレナさんは何取り出してんの、その真っ赤なの何!?セレナさんの手作り!? 「ぐほぁっ」 グイさんが撃沈したぁ――――――――っ! 「あー、スッキリした……!」 いや、けろっといつものセレナさんに戻ってるんだけど!? 「あ、激辛ハバネロ手羽先お代わり――――」 給仕に普通に激辛料理をお代わりしてたし……! う~~ん……。まぁ俺はお饅頭をお代わり……。そう、思った時だった。背後に何かを感じた。いや、何って決まってる。――――――次は俺たちの番じゃんんんんっ! 「父上、たといの蕾に乾杯」 シュイはシュイで何に乾杯してんの! 「おっしゃぁ、いいぜ!俺ぁゼフラのち○こポケットに乾杯いぃぃぃ――――――っ!!!」 いやお父さまも何に乾杯してんですかぁ――――――――っ! 一方お母さまはと言えば。 「あら……っ。んもうギョクったら……っ」 めちゃくちゃ妖艶に微笑んでいたぁ――――――――。俺も……あれくらいになるべきなんだろうか……? 「やはり父上、上の口に2本は……」 「何言ってんだ……?2本だろうが3本だろうが俺ぁしゃぶるぜ」 いや、2人は何の会話してんのぉっ!?あと2人が言ってるブツは多分別々のやつぅっ!! そして俺……口に2本……?え……2本……? 「それだけは、や゛――――――――――っ!!!」 「ガーンッ」 あ、シュイが撃沈してしもた――――――――っ! ――――――――いや、でも。 その後は受け番仲間できゃっきゃと飲んで話して楽しめたから……いいのか……な? 因みにお父さまはお母さまに蛇体枕をしてもらって無事に鎮まったので……俺もぐずるシュイにお膝枕をしてあげることにした。 (番外編・完)

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