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第1話

学生最後の夏休み、久し振りに実家だった家に帰省する事にした。両親は俺が中学の頃に事故で亡くなった。俺には十五離れた姉がいて、両親が亡くなってからは姉が俺の親代わりだった。できた姉に逆らうなんて出来る訳ない。実際、逆らった事なんてない。  そんな姉には厄介な事がある。俺が唯一の家族だからなのか、付き合っている恋人に会わせたがるのだ。姉はよくモテていた。恋人に会った後、決まって俺に感想を聞く。 何でそんな事いちいち俺に聞くのかって姉に聞いたら「私、見る目がないから」っていうのだ。適当に「いいんじゃない」と言うと姉はその相手と別れる。  俺がある悩みで人生真っ暗だと思っていた高校二年生の時、姉から恋人を紹介された。後で感想を聞かれた俺は「止めといた方がいい頼りなさそうだ」と答えた。姉は「そう」と言っただけで、恋人とは別れなかった。  姉は「あなた天の邪鬼だから……彼の事好きでしょう? 私の結婚相手、あなたが嫌いな人だったら困るもの」っと言った。

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