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第16話

「……ん」  蚊取り線香の香りが微かに漂う。部屋の冷たい空気が気持ちがよかった。突然、体が宙に浮いて驚いた俺は目を開けた。 「落とされたくなかったら暴れるな」  寝ぼけ眼をぱちぱちさせる俺を義兄が笑った。俺は今、義兄にお姫様抱っこをされてる状態だ。  義兄は、俺を布団の上に荒っぽく放り投げた。この状況が理解出来ず、義兄の顔をじっと見た。義兄は少し困った顔をして微笑み、自分の帯を解き畳の上に放り投げた。はだけた浴衣の間から、普段見えない腹の部分まで俺は無意識に目で辿った。慌て目を逸らし帯に手を回した。 「おっ俺も脱ぐよ。皺になっちゃうし……」 「いい。着させたのは俺なんだ。今から俺が脱がすからいいんだ」 「なっなに言ってんの?」 「この状況で分からないのか?」  義兄が俺の両肩を掴んで布団に押し倒した。義兄の唇が俺の唇に触れ軽く唇を吸われる。 「……んっっえ、なんでちょっと! 義兄さん!」 「おまえの俺を見る目……いけない事したくなるんだよ」 「いや、待って! 俺…男だし」 「言われなくても分かってる」  義兄の唇がまた俺の唇に触れる。今度は深いキスを繰り返し、唇を吸われ度に身体(からだ)が震える。義兄が俺の腰の帯を器用に解いていく。 頑なに口を開かない俺に苦笑し義兄は、浴衣越しに俺の胸に手を這わせ敏感な部分を指で擦った。緩んだ口元にぬるりと義兄の舌先が入り、俺の舌と絡んで音を立てて吸った。 「やめ……!」 「抵抗してるけど、身体はそうでもないみだいだ」 「やめろって言ってんのに……!」 「大輔、おまえ俺が好きだろ?」 「え……」 「言うまでずっとこのままだ」 「あっ……そこばっか触わらないで」   浴衣の前を開き、今度は直に胸の敏感な部分を指先で転がすように擦られ身体を捩った。俺の身体はもう義兄のキスだけで反応し、いうことが利かなくなっている。 「じゃ、ここだったらいいのか」  義兄の手が俺の熱くなった中心部分を下着の上から撫で上げた。 「そこ、嫌だ…あっ!」  胸の敏感な部分を唇で吸われ舌で転がした。義兄は、俺の立ち上がったものを直接触れ上下に手を動かす。快楽で緊張し与えられる刺激に俺は身体をくねらせる。 「大輔の肌どこもすべすべで…エロいな腰が動いてる」 「なんでこんな……姉さんの命日なのに」 「だからだよ。俺は最低だって言ったんだ」 義兄は俺の反応する全ての箇所を手で指で触れて、湿った唇と舌の感触を残していく。 「嫌だ、そんなとこ咥えないで」 「じゃ言えよ…好きって」  言ってどうなるんだ! あんたはオレの事好きでもないくせに!  俺は首を横に振って抵抗した。義兄は躊躇いもせず、俺の熱く立ち上がったものを咥えて舌を絡めた。そこから溢れ出るものをまるで甘い蜜でも舐めるみたいに舌を這わす。熱っぽく塗れた義兄の目と合い、堪らず喜声を漏らした。 「あっ、出るから……出ちゃうから口離して」  止めるどころか義兄は舌の動きを早め、やらしい水音を立てながら上下に動かした。 「や、んん……あっ……!」      義兄はずるっと音を立て口を離し、俺が吐き出したものを飲み込んだ。まだ余韻が残り身体が痙攣する。義兄はぐったりとなった俺の身体にまた触れる。 「まだイったばっか…いっ! あっ…そこ指」 「ここ、狭いな…もっと気持ちよくしてやるから…おまえが堪らなくなるまで」 「あっ、いった…いっ、んっ…はぁ……」  前も後ろも執拗に手で擦り熱い舌が這う。腰が立たなくなくなるくらい可愛がられ、もう何回果てたのか最後は意識を失っていた。

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