15 / 16

第15話

 花火大会の後、居酒屋行った。義兄は上機嫌で酒を飲んでいた。俺も義兄程ではないが、体がふわふわするくらいには酔ってる。ふらつく義兄を支えながら家まで帰ってきた。 「こんなになるまで飲まないのにどうしちゃったんだよ」 「嬉しかったん…だ。大輔がいるから」 「分かったからしっかり歩いて」  居間まで連れて座らせた。義兄は俺の腕を掴んだまま離さず体勢が崩れた。 「うわ!」  支えきれず義兄に抱き付くように倒れた。離れようとした俺の体を義兄が後ろから引き寄せた。 「ふざけるのもいい加減に……!」 「大輔…ちょっとだけこのままで……」  義兄は俺を抱き締めたまま、心地良さそうな寝息を立て始めた。俺も正直、体を動かすのが面倒だった。義兄の心臓の音と呼吸する度、ゆっくりと上下する体の動きに俺は微睡み始めた。

ともだちにシェアしよう!