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★最終話 子ども部屋の二人

ケイをベッドに押し倒し、何度も息ができないくらいキスをする。 最初は驚いていたケイだが、徐々に、いつものケイになっていった。 俺の頭や首筋に腕をからませ、なでてくる。 服を脱がせて、後ろ向きにさせる。 指で割れ目なぞる。 「あっ……。」 これからのことを予感したケイは簡単に甘い声を出した。 指を入れる。 締まっていて、あれから自分ではやっていないようだった。 でも、もうこの体つきならいいだろう。 ゆっくり奥まで入れていく。 「うっ…あ…ぁ。」 痛いとも気持ちいいともわからない声を出した。 ゆっくり抜いてみる。 「はあ…あっ…。」 気持ち良さそうな声だったので、遠慮なく突いていく。 「やっ!あっ!あんっ…!」 ケイの喘ぎ声に合わせて、ベッドもきしむ。 ケイは枕の端を固く握りしめている。 快感が迫ってくる。 ケイの中に出した。 「は……あ……。」 ケイも、自分で自分のをしごいてイッた。 「お兄ちゃん…気持ち良かった?」 「ごめんね…ちょっと、急にムラムラしちゃって…。」 ケイが抱きついてきた。 「俺は、いつでもいいから…。」 ケイを抱きしめたが、キスはしなかった。 ―――――――――――――― それからというもの、俺は自分の性欲が湧き上がったらケイの体で処理するようになった。 ケイに咥えてもらい、ケイの中に出す。 キスも、前戯もしない。 「ごめんね。学校が忙しくて、時間があまりとれないから。」 「ううん。勉強、頑張ってね。」 ケイは嫌がらなかったし、拒絶もしなかった。 ちゃんと毎回、俺が喜び、興奮するように丁寧にしてくれた。 ただ、目つきは受験勉強を始めた頃の、あの従順なケイに戻っていた。 ―――――――――――――― 大学に入学し、一人暮らしを始めた。 ケイのいない部屋だ。 寂しくなかった。 俺は自由になった、あの監獄(子ども部屋)から。 部屋に、家族を入れることはしなかった。 ここは、初めての俺だけの空間なんだ。 その後、俺は予定通り官僚になった。 そして、仕事で知り合った一人の女性を好きになった。 彼女は難民支援で危険な地域を飛び回っていた。 頭が良くて、ユーモアがあって、いつも世界の平和について考えていた。 母たちのように、男がいないと生きていけない女ではない。 俺は何度もアプローチしたが、毎回断られた。 危険な地域を回るのでいつ死ぬかわからない、すでに40歳を過ぎていて、子どもは難しいから、と言う。 そんなのどうでも良かった。 俺は彼女となら一緒に死んでもいい。 子どもがほしいから結婚したいんじゃない。 その生き方に惚れたのだ。 結婚しなくても側にいさせてほしいと言ったら、「それじゃ貴方の体裁が悪いわね」と言って結婚してくれた。 結婚して一年を過ぎる頃、彼女から不妊治療をしたいと言われた。 俺と子どもがほしいと思ってくれたのだ。 彼女の変化が嬉しかった。 育休で日本に滞在していると、ケイから連絡が来た。 少し不安だったが、けじめをつけなければならない。 全て、俺が悪かったのだ。 ケイは、証券会社の営業マンになっていた。 似合っていると思う。 良い上司に恵まれて、やれるだけやってみたいという。 ケイは、いつの間にか男らしくなっていた。 俺も口座を開き、何人か知り合いに顔をつないだ。 俺の罪は、妻の高潔な魂と、ケイの不思議な縁によって許された。 あの子ども部屋は、今は物置になっている。 ― 第三章 完 ―

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