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第1話 出会い

 白い息が切れ、冷たい風が肌を刺す。地についた足は石で傷つき擦れ血が流れた。  ガガガと金属がアスファルト削り、着けられた足枷により足首は痣からそして皮が剥ける。ポタポタと血が流れた道の先には小さな子ども。 体中、手が、足が痛い。  痛みをこらえ、必死に少年は何かから逃げるように足を動かした。 『────なるべく遠くへ────』 あの場所から逃げなければ。誰に頼ればいいかも、どうすればいいのかも分からない。もしあの人に捕まれば…ふと頭に過る最悪なシナリオに胸の中にある何かが凄く動いた。  あんなに景色が見やすかったはずなのに、色が橙色からだんだんと黒へと変わっていた。たよりになるのは数メートル間隔の電灯だけ。 「…………………っ!?」  もう何日も食事を与えてもらえなかった少年は、力尽きその場に倒れた。  あぁ、外の景色を見れただけでも嬉しかった。そう少年はゆっくりと目蓋を閉じようとしたその時、暗い闇を何かが照らした。  強い光に映る長い影。 『・・・あの人達かもしれない。』  逃げなければならないのに、思うように身体が動かない。  下半身を引きずるように残った手と腕の力で動く。ガガガガと音をたてる足枷。体は地に縫い付けられてるように重い。重いそれを無理やり動かし、前へ前へと進んだ。どこへ逃げればいいのかも分からずただただ動かす。爪がまた削れ削れ血が線を描いた。 「おい、大丈夫か? ────… 」  黒い服を着た男達の一人が少年に声をかけた。腹に響く低い声に脅える少年。歯はカチカチとぶつかった音がする。    限界だった体が細い蜘蛛の糸のようにぷつりと切れた。

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