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★第32話 那央との夜
予定より早めに那央のアパートに帰った。
今日は、時間にも体力にも余裕がある。
早速キスをする。
いつもならすぐよがる那央のはずが、今日はそうでもない。
「……那央……どうしたの?あまり気持ち良くない?」
ちょっと不安になる。
「いや……いつも……なんか、先輩に気持ちよくさせられっぱなしだから……今日は自分もがんばりたいなって……。」
いじらしい理由だった。
「本当に?じゃあ甘えちゃおうかな……。」
「……一緒にお風呂入ります?」
「そうだね。一度、あったまろうか。」
蛇口からお湯が出る音が響く。
湯船にお湯がたまる、たったこれだけの待ち時間にソワソワする。
浴室から戻ってきた那央を抱き寄せる。
「……藤波さんとは、してないんですよね……?」
「まさか!してないよ。」
思わず笑ってしまった。
あの藤波とは、ありえない。
あちらにもその気は無さそうだ。
那央は少し微笑むと、橘にキスをした。
「変な心配させてごめんね。」
「……大丈夫です。」
橘は那央を強く抱きしめた。
「聞くまででもないけど、那央も浮気はしてないよね?」
「するわけないじゃないですか……。三年越しなんですから……。」
胸が締め付けられた。
いくら抱きしめても足りない、愛しくてたまらない。
早く、那央と一つになりたい。
体を洗い、那央を後ろから抱くように湯船につかる。
お湯の、軽く痺れるような温かさが気持ちいい。
那央の少し硬くなったそれをにぎる。
少し動かすと、だんだん硬く大きくなっていく。
「先輩……今日はなんか……直接的ですね……。」
「好きすぎて、余裕がないんだよ。」
那央の首の後ろを舐める。
「あっ……!」
那央のものを少し強めにしごきながら、乳首も指で転がす。
「ん……!あ……!ダ、ダメ……!」
那央が橘の手を止める。
「……ダメなの?」
「……俺ばかりじゃ、ダメです……!今日は、先輩の体洗ってあげますから!」
那央は俺を座らせ、泡立てて体を洗い始めた。
なんというか……まるで銅像でも磨いているかのように熱心に洗ってくれるので、ちょっと笑ってしまった。
「何笑ってるんですか……?」
「いや、一生懸命で可愛いな、って。」
「……気持ち良くないんですね。」
「そんなことないよ。ほら。」
橘は那央の手を自分のものに触れさせた。
「………………。」
那央は恥ずかしそうにしている。
「……舐めてくれる?」
「は、はい。」
つい、頼んでしまった。
この間と同じように、バスタブのふちに腰かける。
那央がひざまずいて舐め始めた。
自分がされた時のことを思い出して、再現しようとしているのだろう。
せわしなく舌を動かしている。
那央は口を離すと、上目づかいで言った。
「……あんまり……気持ちよくなさそうですね……。」
しょんぼりした声だ。
「違うよ。那央が一生懸命なところを見ていたいんだ。」
那央の顔が赤くなった。
「恥ずかしいから、見ないでください……。」
「アイス食べてる時も、そんな顔してたなって。」
「そんな!今は、もうちょっと真剣に、やってますよ!」
なぜか那央はふくれた。
「……あのさ……嫌なら嫌で、断ってくれていいんだけど、少し……動かしてもいいかな……。」
「……は、はい……。」
橘は立ち上がり、那央は再び橘のものを咥えた。
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